敗 [雑記]
戦略における敗北は戦術では覆せない。
・最強のドラえもん
ドラえもんの道具で一番強いのは…
・今週の読書
いつものアレ。
・今週の進捗
絵の話。いつものアレ。
ほいではポン。
・最強のドラえもん
ドラえもんの道具って無茶苦茶ヤバいものが多いじゃないですか。上手く使えば世界を掌握出来そうな道具が沢山あります。割と無害だと思われる「どこでもドア」でさえ世界掌握に十分な力を持っていますからね。それより強い道具なら余裕でしょう。
そんな中でどの道具が最強なのか?というのはこれまで散々取り上げられてきた話であり、ちょっと検索すればいくらでも出てくるんですが、具体的にそれを使ってどうすれば最強になれるのかというは案外言及されていないので、取り上げてみようかと。
1.ソノウソホント
くちばしのような形をした道具で、これを装着して喋ると「嘘が本当の事になる」という効果を発揮します。そして「今のは嘘」と言うと直前の嘘が取り消されます。
問答無用で最強の道具です。嘘を事実に変えることが出来るため、喋ることさえ可能な状況であればこの世の全てを思うがままに操作することが出来るということです。
入手したらまずは「この世の全てが僕の思い通りになる」と言うと良いでしょう。この時点で勝ちが確定します。「全て思い通り」ということは予想外の出来事が起きなくなってしまうので、それじゃつまらないですよね。ということで、自分の叶えたい願いをじっくりと考えてリストアップしましょう。「不老不死」「大金持ち」とか、何でもいいです。
準備が整ったら安全を確保したうえで道具を装着し「今のは嘘」と言います。これで世界は元通りになります。そして「これから1時間、僕は絶対に安全」と言います。この世に「絶対安全」などというものは無いので、これは嘘です=現実になります。あとは1時間以内に(多ければ時間を延ばす)リストを順番に読み上げて世界をカスタムしましょう。
以降、個別に嘘を解除したければ「なぜか僕の不老不死が解除される」といった感じでひとつずつ解除すればOKです。注意点は、最初のように「全てが思い通り」みたいな汎用的な嘘を付いてしまうと効果の認識が困難になることです。「全て」とは何なのか、漠然としていて分かりませんからね。一応は「寿命に関してだけは思い通りにならなくなる」みたいな方法で個別解除できますが、把握し切れないですよね。
何にしても、今どのような嘘がONになっていて、どれがOFFなのかということを管理して行く能力が求められますが、よく分からなくなったら「僕の記憶以外の全てが嘘を付く前に戻ってしまった」と言えばリセットできそうなので問題は無いでしょう。
類似の効果を持つ「ウソ800」という道具もあり、これは薬品であり服用することで「言ったことが全て嘘になる」という効果を得られます。しかし体質そのものが変化してしまうので、着脱可能であるソノウソホントと比べるとかなりテクニカルで使いにくい道具であると言えます。よって、この道具は最強とは言い難いでしょう。(無茶苦茶強いですが)
2.もしもボックス
電話ボックス型の道具で、その受話器に「もしもxxxだったら」と話すことで世界をそのように作り変える効果を持っています。実際には「そのような設定のパラレルワールド」が作成され、そこに送り込まれるだけなので元の世界に変化はありません。帰りたい場合は受話器に「元の世界に戻して」と言えばOKです。
最強の道具ランキングで上位常連の道具ですが、この道具を最強にするためには使用者の工夫が必要になるので、テキトーに使っても最強のソノウソホントよりは劣ります。
「話した通りの設定」で世界が作られてしまうため、融通が利きません。「何でも僕の思い通りになる世界」なら文字通り「思い通り」になるので世界の微細な調整も可能でしょうけど、ソノウソホントと同じく管理能力が求められますね。そして魔が差して「世界は僕の思い通りにならなくなった」などという改変をしてしまったらゲームオーバーです。
また、上記以外の世界を作ってしまった場合は不慮の事故等でもしもボックスが破壊されてしまう=元の世界に帰れなくなる=世界を作り変えることができなくなるという状況に陥る可能性があるため、これも詰みです。絶対に防がなくてはなりません。
更に言うと、電話でオーダーしてから新世界が構築されるまでにはタイムラグがあります。可能性としてはほぼ無いとは思いますが、この間に阻止されてしまったらアウトです。そういった意味でもソノウソホントには劣る道具であると言えますね。
3.バイバイン
液体の道具であり、物体に塗布すると「5分経過するごとに2倍に増える」という特性を与えることができます。作中ではおやつの栗まんじゅうを沢山食べたい!ということで使用しています。1個の栗まんじゅうが5分後に2個になるので、そのうちの1個を食べて5分待つ、するとまた2個になるので…と繰返すことで無限に食べられます。
この道具の恐ろしいところは「2倍になる」という部分です。1個が5分後には2個、更に5分後には4個、更に5分後には8個に…と、名前の通り倍倍に増えて行きます。作中でも結局は大量の栗まんじゅうを食べきれなくなり、栗まんじゅうが恐ろしい勢いで増え始めたので宇宙に投げ捨てることで処理する羽目になりました。
多くの方が計算されていますが、一般的な栗まんじゅうを放置した場合、23時間ちょっと経過した時点で栗まんじゅうが宇宙を埋め尽くします。
途中でブラックホール化するとか、恒星の熱で燃え尽きるとか、逆に凍結するとか、色々と考えられますが、エネルギー保存の法則や相対性理論を無視した超次元の効果を持っているためどうなるのか予測できません。かなりヤバい道具です。
ソノウソホントやもしもボックスは論理的に宇宙を破壊できる力を秘めていますが、バイバインは物理的に宇宙を破壊する力を秘めています。街が栗まんじゅうに飲み込まれ、国が飲み込まれ、大陸が飲み込まれ、星が飲み込まれるという様子を見せ付けられるのですから、人々に与える恐怖は最上級です。一瞬で終わらないですからね、超怖いですよ。
宇宙を破壊したい場合、できるだけ丈夫で大きな物体に対してバイバインを使いましょう。栗まんじゅうのように複数の要素で構成されたものも「1個」としてカウントされるようなので、そこらに停まっている車などで良いと思います。「地球」が一番手っ取り早いのかもしれませんが、それが許されるかは不明です。両方に使うと安心ですね。
車のみについて言うと、開始から5分後には2台に増えます。この時点では誰も気付かないでしょう。開始から10分後には4台、まだ大丈夫。15分後には8台、そろそろ駐車場が異様な様子になってきますね。20分後には16台、ここで駐車場から溢れ出します。
30分後には64台、恐らく道路が塞がれて交通が麻痺します。ここで警察に通報が行くでしょう。5分後(開始から35分)に警察が到着した際には128台に増えており、近隣の建物が破壊されるでしょう。警察官ではどうにもならないので、更に上に報告が行きます。
警察官から映像が送られ、異常事態について議論が行われ「現場を確認しよう」などという話になり、偵察用の車両が出動すると思われますが、それまでに1時間以上は掛かるはず。ここまで1.5時間経過しているとすると、車は262,144台に増えています。
一般的な乗用車の大きさは幅1.7m、長さ4.8mであり、面積は8.16平方メートルです。平面的に増えたとすると約214万平方メートルであり、東京ドーム45.5個分です。もうこの時点で撃滅不能な大きさになっていますね、どうにもなりません。
ここで総理大臣にまで報告が上がり、自衛隊が出動するでしょう。そこまでに30分要するならば、車の面積は137平方キロメートルになります。これは川崎市とほぼ同じ面積です。もはや自衛隊でもどうにもなりません。5分後には更に倍で大阪市の面積を超え、更に5分後に名古屋市の面積を超えます。更に10分後には大阪府と香川県を超え…といった感じで、事件発生から3時間15分後に日本の国土が車で埋め尽くされます。
これを防ぐには、開始から1時間以内に戦略兵器によって街ごと破壊するしかありません。現実問題、そんなことは不可能です。住民の避難ができないし、住民の命を無視しても作戦を発動して実行するまでに1時間以上掛かります。つまり防ぐ手はありません。
怖過ぎでしょ、バイバイン。「地球破壊爆弾」とか「原子核破壊砲」のような単純に強そうな道具もあるんですけど、恐ろしさで言えばバイバインが勝ると思います。
ドラえもんの道具、怖過ぎですよね。しかしこれらは未来デパートでは普通に売られているものなので、何らかの対抗策も作られているのでしょう。「ソノウソホント無効フィールド」みたいなものが張り巡らされているとか。
「海底二万里」で有名なSF作家のジュール・ヴェルヌが「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」と言いましたが、コレは無理やろなぁ。バーチャル世界で疑似体験できるかも?という意味では実現できるのかもしれないけれども。
・今週の読書
それではいつもの読書記録です。
今週読了した本:
パン屋を襲う:村上春樹
Another(上巻):綾辻行人
Another(下巻):綾辻行人
現在読んでいる本:
Another エピソードS:綾辻行人
屍者の帝国:伊藤計劃
今後読みたい本:
虐殺器官:伊藤計劃
ハーモニー:伊藤計劃
ドグラ・マグラ(上下):夢野久作
ニューロマンサー:ウィリアム・ギブスン
砂の女:安部公房
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?:フィリップ・K・ディック
天使の囀り:貴志祐介
プロジェクト・ゼロ:石川英輔
死都日本:石黒耀
13階段:高野和明
三体:劉慈欣
テスカトリポカ:佐藤究
正欲:朝井リョウ
「Another」を読了して「Another エピソードS」を3分の1程読みました。この後は「Another 2001」に行こうと思っていましたが、これは取り止めとします。
以降、結構過激なことを書きますのでAnotherや綾辻行人さんのファンの方は読まない方が良いかもしれません。あくまで僕の意見であり、他の意見を否定するものではありません。
「Another」なんですけど、アニメ版より微妙だったなと。話はほぼ同じなんですけど、アニメ版は映像の出来が非常に良かったので、この物語のおかしな部分をある程度はカバーできていたんですよ。映像だけで引っ張れる力がありましたからね。終盤はそのおかしさがMAXになってしまったのでカバーし切れていませんでしたが。
アカン部分は沢山あるんですが、まずは叙述トリックですね。この作品が悪いってワケじゃないんですけど、叙述トリックって読者を騙すために作られた仕掛けですよね。ミステリ小説って主人公が敵と戦うものであり、読者が著者と戦うものじゃないんですよ。
読者を主人公とダブらせることで主人公=読者VS敵=著者という構図を作るのはいいんです。一般的なミステリはそうですよね。でも叙述トリックは「主人公は知っているが、読者は知らない」という情報を謎に絡めていて、主人公と同じ視点で戦うことができません。それが好きという人もいるでしょうが、僕は嫌いです。
これについては僕の好みの問題なので、叙述トリックという形式が悪いわけじゃないし、Anotherが悪いわけでもありません。誰も悪くない。だからこれは別にいいんですよ、この点について出来がどうだというつもりは一切ありません。
一方で中身は明確にアカンですね。出来が悪い。Anotherには「事件に関わる全ての事象(記憶も物質も)が超常現象により改ざんされる」という超設定があるので、正直言って何でもアリなんですよね。その一方で千曳という人物は「観察者として部分的に超常現象の関与を受けない」という超設定があります。
ただのパニックホラーならいいんですけど、ミステリという皮を被っている以上は論理をぶっ壊す超設定ってどうなんですかね。それがあると、読者の推理が一切通用しなくなる可能性が付きまとうじゃないですか。結果がどうであれ、ルールを捻じ曲げる力が存在している以上は考えても無駄なんですよ。それってミステリとしてどうなんでしょう。
また、長年に渡り人死にが多発しているにしては世間から問題視されていない点が気になります。「呪いのことを部外者に話すと更なる災厄に襲われる」という設定はあるんですが、事故死などは普通に新聞に載っているし、現代劇なのでマスコミもあるじゃないですか。3年3組に事件・事故が集中しているなんてすぐに周知されます。
「学校側としては公的機関がオカルトで動くわけには行かないから」みたいな理由も書いてありましたが、学校がどう考えていようが保護者側は黙っていないはずです。子供が死ぬかもしれないのだから、そんな学校に通わせないでしょう。通わせたとしても、3年3組になった瞬間に猛抗議するか引っ越すかしますよ。命に関わるんですから。
そもそも、部外者に話したらいけないという決まりであっても、自分の命がかかっているんだから親に話して引越して貰えるように説得しますよね。自分の命を危険に晒してまで決まりを守るって3年3組の生徒は武士か何かなのですか。
作中では親に話して脱出した生徒も何人か存在するという描写がありますが、少数派なんですよね。最終盤でもまだ14人の生徒が残留しているので。(合宿に参加していない生徒もいるようなので、恐らくもっと多いはず)
「現実味が無いから嫌だ」と言っているわけではありません。フィクションなので、それは別に構わないです。全員が「逃げるのは恥である、正々堂々と怪現象に立ち向かうべき」と考えているならそういう世界であるということでいいんです。が、作中ではみんな「死ぬのは怖い」と考えているじゃないですか。つまり、この人達の価値観と行動がズレているんですよ。それが嫌なんです。その世界の価値観に従って下さいよ。
その辺りの設定的な話を抜きにしても、物語終盤で「実は机が足りなかったのは教室ではなく職員室だった」という話が明らかになります。いや、それって物語開始前に3年3組の全員が知っているはずですよね?それなら、4月時点で担任か副担任が死者だって分かっているはずじゃないですか。どちらかは分からないので、2人を無視すればいいですよね。
結局のところ、これって三神先生=怜子さんという事実を最後まで隠し通したいがために全てを犠牲にしているんですよね。もしもこれが明らかである前提で話が進められたら、三神先生関連のトリックは全てクリアになってしまうし、鳴の能力も不要となり、主人公は無視されず、Anotherという物語が成り立たなくなってしまいます。
言い換えれば、この物語の惨劇は全て不要だったはずなんですよ。それなのに登場人物をわざわざ阿呆にすることで物語を作り上げています。これが一番の問題です。
エピソードSについては上の通り3分の1ほど読みましたが、今のところ面白くないですね。このあと盛り上がるのかもしれませんけど、120ページに渡って起伏のない描写が延々続いているだけであり、かといって村上春樹のように文章そのものに面白味があるわけでも無いので、非常にのっぺりとしています。あまり期待できそうにありませんね。
この後に予定していた2001については、レビューをチェックしたところ上に挙げたような問題点は一切解消されておらず、あくまで著者のファン向け、あるいはキャラが好きなら、といった感じのようです。僕は著者のファンではないし、鳴ちゃんは良いキャラだと思いますがそのために800ページを読むのは辛いのでパスします。
同著者の「十角館の殺人」は面白いとのことですが、これも多分何かしら気になるんだろうなと思うと食指が動きません。多分、Anotherや著者がどうこうという話でなく、僕はミステリが好きじゃない、あるいは向いていないんでしょうね。
上でも触れましたが、ミステリって主人公=読者への挑戦状みたいな側面があると思うので、挑戦された以上は徹底的に粗探しをして叩き潰したいんですよ。それだけやってまんまとやられるなら清清しいじゃないですか、完敗ですよ。そういう敗北が欲しいんです。敵が勝手にルールを捻じ曲げるような卑怯な戦いは嫌いです。(「勝手に捻じ曲げた」と明言されるなら、それがルールなので問題無いです)
完全に叩き潰してくれるミステリなら大いに楽しめると思うんですが、それを探すのって難しいですよね。かなり読み進めないと判断できませんので。そうなると、今後はミステリを避けるのが無難という選択になってしまうかなぁ。
もちろんミステリ以外のジャンルでも「それはおかしいやろ」という部分はいくらでもあるんですけど、読者に挑んでこなければおかしくてもある程度は許容できます。おかしい部分が物語の根幹に関係無いのであれば、ですけれども。サザエさんが何度正月を迎えても24歳であるとか、おかしいけど別にどうでもいいじゃないですか。ドラえもんが栗まんじゅうを宇宙に捨てても別にいいんですよ。
ミステリは基本的に全ての情報が物語の根幹に結び付いてしまうので、そういった点で不利なんでしょうね。少しの綻びも許されない。ミステリ作家ってしんどい職業だなぁ。
以下、絵の話なので畳みます。
今週はいつもとは違ったベクトルで気持ち悪い絵です。
・最強のドラえもん
ドラえもんの道具で一番強いのは…
・今週の読書
いつものアレ。
・今週の進捗
絵の話。いつものアレ。
ほいではポン。
・最強のドラえもん
ドラえもんの道具って無茶苦茶ヤバいものが多いじゃないですか。上手く使えば世界を掌握出来そうな道具が沢山あります。割と無害だと思われる「どこでもドア」でさえ世界掌握に十分な力を持っていますからね。それより強い道具なら余裕でしょう。
そんな中でどの道具が最強なのか?というのはこれまで散々取り上げられてきた話であり、ちょっと検索すればいくらでも出てくるんですが、具体的にそれを使ってどうすれば最強になれるのかというは案外言及されていないので、取り上げてみようかと。
1.ソノウソホント
くちばしのような形をした道具で、これを装着して喋ると「嘘が本当の事になる」という効果を発揮します。そして「今のは嘘」と言うと直前の嘘が取り消されます。
問答無用で最強の道具です。嘘を事実に変えることが出来るため、喋ることさえ可能な状況であればこの世の全てを思うがままに操作することが出来るということです。
入手したらまずは「この世の全てが僕の思い通りになる」と言うと良いでしょう。この時点で勝ちが確定します。「全て思い通り」ということは予想外の出来事が起きなくなってしまうので、それじゃつまらないですよね。ということで、自分の叶えたい願いをじっくりと考えてリストアップしましょう。「不老不死」「大金持ち」とか、何でもいいです。
準備が整ったら安全を確保したうえで道具を装着し「今のは嘘」と言います。これで世界は元通りになります。そして「これから1時間、僕は絶対に安全」と言います。この世に「絶対安全」などというものは無いので、これは嘘です=現実になります。あとは1時間以内に(多ければ時間を延ばす)リストを順番に読み上げて世界をカスタムしましょう。
以降、個別に嘘を解除したければ「なぜか僕の不老不死が解除される」といった感じでひとつずつ解除すればOKです。注意点は、最初のように「全てが思い通り」みたいな汎用的な嘘を付いてしまうと効果の認識が困難になることです。「全て」とは何なのか、漠然としていて分かりませんからね。一応は「寿命に関してだけは思い通りにならなくなる」みたいな方法で個別解除できますが、把握し切れないですよね。
何にしても、今どのような嘘がONになっていて、どれがOFFなのかということを管理して行く能力が求められますが、よく分からなくなったら「僕の記憶以外の全てが嘘を付く前に戻ってしまった」と言えばリセットできそうなので問題は無いでしょう。
類似の効果を持つ「ウソ800」という道具もあり、これは薬品であり服用することで「言ったことが全て嘘になる」という効果を得られます。しかし体質そのものが変化してしまうので、着脱可能であるソノウソホントと比べるとかなりテクニカルで使いにくい道具であると言えます。よって、この道具は最強とは言い難いでしょう。(無茶苦茶強いですが)
2.もしもボックス
電話ボックス型の道具で、その受話器に「もしもxxxだったら」と話すことで世界をそのように作り変える効果を持っています。実際には「そのような設定のパラレルワールド」が作成され、そこに送り込まれるだけなので元の世界に変化はありません。帰りたい場合は受話器に「元の世界に戻して」と言えばOKです。
最強の道具ランキングで上位常連の道具ですが、この道具を最強にするためには使用者の工夫が必要になるので、テキトーに使っても最強のソノウソホントよりは劣ります。
「話した通りの設定」で世界が作られてしまうため、融通が利きません。「何でも僕の思い通りになる世界」なら文字通り「思い通り」になるので世界の微細な調整も可能でしょうけど、ソノウソホントと同じく管理能力が求められますね。そして魔が差して「世界は僕の思い通りにならなくなった」などという改変をしてしまったらゲームオーバーです。
また、上記以外の世界を作ってしまった場合は不慮の事故等でもしもボックスが破壊されてしまう=元の世界に帰れなくなる=世界を作り変えることができなくなるという状況に陥る可能性があるため、これも詰みです。絶対に防がなくてはなりません。
更に言うと、電話でオーダーしてから新世界が構築されるまでにはタイムラグがあります。可能性としてはほぼ無いとは思いますが、この間に阻止されてしまったらアウトです。そういった意味でもソノウソホントには劣る道具であると言えますね。
3.バイバイン
液体の道具であり、物体に塗布すると「5分経過するごとに2倍に増える」という特性を与えることができます。作中ではおやつの栗まんじゅうを沢山食べたい!ということで使用しています。1個の栗まんじゅうが5分後に2個になるので、そのうちの1個を食べて5分待つ、するとまた2個になるので…と繰返すことで無限に食べられます。
この道具の恐ろしいところは「2倍になる」という部分です。1個が5分後には2個、更に5分後には4個、更に5分後には8個に…と、名前の通り倍倍に増えて行きます。作中でも結局は大量の栗まんじゅうを食べきれなくなり、栗まんじゅうが恐ろしい勢いで増え始めたので宇宙に投げ捨てることで処理する羽目になりました。
多くの方が計算されていますが、一般的な栗まんじゅうを放置した場合、23時間ちょっと経過した時点で栗まんじゅうが宇宙を埋め尽くします。
途中でブラックホール化するとか、恒星の熱で燃え尽きるとか、逆に凍結するとか、色々と考えられますが、エネルギー保存の法則や相対性理論を無視した超次元の効果を持っているためどうなるのか予測できません。かなりヤバい道具です。
ソノウソホントやもしもボックスは論理的に宇宙を破壊できる力を秘めていますが、バイバインは物理的に宇宙を破壊する力を秘めています。街が栗まんじゅうに飲み込まれ、国が飲み込まれ、大陸が飲み込まれ、星が飲み込まれるという様子を見せ付けられるのですから、人々に与える恐怖は最上級です。一瞬で終わらないですからね、超怖いですよ。
宇宙を破壊したい場合、できるだけ丈夫で大きな物体に対してバイバインを使いましょう。栗まんじゅうのように複数の要素で構成されたものも「1個」としてカウントされるようなので、そこらに停まっている車などで良いと思います。「地球」が一番手っ取り早いのかもしれませんが、それが許されるかは不明です。両方に使うと安心ですね。
車のみについて言うと、開始から5分後には2台に増えます。この時点では誰も気付かないでしょう。開始から10分後には4台、まだ大丈夫。15分後には8台、そろそろ駐車場が異様な様子になってきますね。20分後には16台、ここで駐車場から溢れ出します。
30分後には64台、恐らく道路が塞がれて交通が麻痺します。ここで警察に通報が行くでしょう。5分後(開始から35分)に警察が到着した際には128台に増えており、近隣の建物が破壊されるでしょう。警察官ではどうにもならないので、更に上に報告が行きます。
警察官から映像が送られ、異常事態について議論が行われ「現場を確認しよう」などという話になり、偵察用の車両が出動すると思われますが、それまでに1時間以上は掛かるはず。ここまで1.5時間経過しているとすると、車は262,144台に増えています。
一般的な乗用車の大きさは幅1.7m、長さ4.8mであり、面積は8.16平方メートルです。平面的に増えたとすると約214万平方メートルであり、東京ドーム45.5個分です。もうこの時点で撃滅不能な大きさになっていますね、どうにもなりません。
ここで総理大臣にまで報告が上がり、自衛隊が出動するでしょう。そこまでに30分要するならば、車の面積は137平方キロメートルになります。これは川崎市とほぼ同じ面積です。もはや自衛隊でもどうにもなりません。5分後には更に倍で大阪市の面積を超え、更に5分後に名古屋市の面積を超えます。更に10分後には大阪府と香川県を超え…といった感じで、事件発生から3時間15分後に日本の国土が車で埋め尽くされます。
これを防ぐには、開始から1時間以内に戦略兵器によって街ごと破壊するしかありません。現実問題、そんなことは不可能です。住民の避難ができないし、住民の命を無視しても作戦を発動して実行するまでに1時間以上掛かります。つまり防ぐ手はありません。
怖過ぎでしょ、バイバイン。「地球破壊爆弾」とか「原子核破壊砲」のような単純に強そうな道具もあるんですけど、恐ろしさで言えばバイバインが勝ると思います。
ドラえもんの道具、怖過ぎですよね。しかしこれらは未来デパートでは普通に売られているものなので、何らかの対抗策も作られているのでしょう。「ソノウソホント無効フィールド」みたいなものが張り巡らされているとか。
「海底二万里」で有名なSF作家のジュール・ヴェルヌが「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」と言いましたが、コレは無理やろなぁ。バーチャル世界で疑似体験できるかも?という意味では実現できるのかもしれないけれども。
・今週の読書
それではいつもの読書記録です。
今週読了した本:
パン屋を襲う:村上春樹
Another(上巻):綾辻行人
Another(下巻):綾辻行人
現在読んでいる本:
Another エピソードS:綾辻行人
屍者の帝国:伊藤計劃
今後読みたい本:
虐殺器官:伊藤計劃
ハーモニー:伊藤計劃
ドグラ・マグラ(上下):夢野久作
ニューロマンサー:ウィリアム・ギブスン
砂の女:安部公房
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?:フィリップ・K・ディック
天使の囀り:貴志祐介
プロジェクト・ゼロ:石川英輔
死都日本:石黒耀
13階段:高野和明
三体:劉慈欣
テスカトリポカ:佐藤究
正欲:朝井リョウ
「Another」を読了して「Another エピソードS」を3分の1程読みました。この後は「Another 2001」に行こうと思っていましたが、これは取り止めとします。
以降、結構過激なことを書きますのでAnotherや綾辻行人さんのファンの方は読まない方が良いかもしれません。あくまで僕の意見であり、他の意見を否定するものではありません。
「Another」なんですけど、アニメ版より微妙だったなと。話はほぼ同じなんですけど、アニメ版は映像の出来が非常に良かったので、この物語のおかしな部分をある程度はカバーできていたんですよ。映像だけで引っ張れる力がありましたからね。終盤はそのおかしさがMAXになってしまったのでカバーし切れていませんでしたが。
アカン部分は沢山あるんですが、まずは叙述トリックですね。この作品が悪いってワケじゃないんですけど、叙述トリックって読者を騙すために作られた仕掛けですよね。ミステリ小説って主人公が敵と戦うものであり、読者が著者と戦うものじゃないんですよ。
読者を主人公とダブらせることで主人公=読者VS敵=著者という構図を作るのはいいんです。一般的なミステリはそうですよね。でも叙述トリックは「主人公は知っているが、読者は知らない」という情報を謎に絡めていて、主人公と同じ視点で戦うことができません。それが好きという人もいるでしょうが、僕は嫌いです。
これについては僕の好みの問題なので、叙述トリックという形式が悪いわけじゃないし、Anotherが悪いわけでもありません。誰も悪くない。だからこれは別にいいんですよ、この点について出来がどうだというつもりは一切ありません。
一方で中身は明確にアカンですね。出来が悪い。Anotherには「事件に関わる全ての事象(記憶も物質も)が超常現象により改ざんされる」という超設定があるので、正直言って何でもアリなんですよね。その一方で千曳という人物は「観察者として部分的に超常現象の関与を受けない」という超設定があります。
ただのパニックホラーならいいんですけど、ミステリという皮を被っている以上は論理をぶっ壊す超設定ってどうなんですかね。それがあると、読者の推理が一切通用しなくなる可能性が付きまとうじゃないですか。結果がどうであれ、ルールを捻じ曲げる力が存在している以上は考えても無駄なんですよ。それってミステリとしてどうなんでしょう。
また、長年に渡り人死にが多発しているにしては世間から問題視されていない点が気になります。「呪いのことを部外者に話すと更なる災厄に襲われる」という設定はあるんですが、事故死などは普通に新聞に載っているし、現代劇なのでマスコミもあるじゃないですか。3年3組に事件・事故が集中しているなんてすぐに周知されます。
「学校側としては公的機関がオカルトで動くわけには行かないから」みたいな理由も書いてありましたが、学校がどう考えていようが保護者側は黙っていないはずです。子供が死ぬかもしれないのだから、そんな学校に通わせないでしょう。通わせたとしても、3年3組になった瞬間に猛抗議するか引っ越すかしますよ。命に関わるんですから。
そもそも、部外者に話したらいけないという決まりであっても、自分の命がかかっているんだから親に話して引越して貰えるように説得しますよね。自分の命を危険に晒してまで決まりを守るって3年3組の生徒は武士か何かなのですか。
作中では親に話して脱出した生徒も何人か存在するという描写がありますが、少数派なんですよね。最終盤でもまだ14人の生徒が残留しているので。(合宿に参加していない生徒もいるようなので、恐らくもっと多いはず)
「現実味が無いから嫌だ」と言っているわけではありません。フィクションなので、それは別に構わないです。全員が「逃げるのは恥である、正々堂々と怪現象に立ち向かうべき」と考えているならそういう世界であるということでいいんです。が、作中ではみんな「死ぬのは怖い」と考えているじゃないですか。つまり、この人達の価値観と行動がズレているんですよ。それが嫌なんです。その世界の価値観に従って下さいよ。
その辺りの設定的な話を抜きにしても、物語終盤で「実は机が足りなかったのは教室ではなく職員室だった」という話が明らかになります。いや、それって物語開始前に3年3組の全員が知っているはずですよね?それなら、4月時点で担任か副担任が死者だって分かっているはずじゃないですか。どちらかは分からないので、2人を無視すればいいですよね。
結局のところ、これって三神先生=怜子さんという事実を最後まで隠し通したいがために全てを犠牲にしているんですよね。もしもこれが明らかである前提で話が進められたら、三神先生関連のトリックは全てクリアになってしまうし、鳴の能力も不要となり、主人公は無視されず、Anotherという物語が成り立たなくなってしまいます。
言い換えれば、この物語の惨劇は全て不要だったはずなんですよ。それなのに登場人物をわざわざ阿呆にすることで物語を作り上げています。これが一番の問題です。
エピソードSについては上の通り3分の1ほど読みましたが、今のところ面白くないですね。このあと盛り上がるのかもしれませんけど、120ページに渡って起伏のない描写が延々続いているだけであり、かといって村上春樹のように文章そのものに面白味があるわけでも無いので、非常にのっぺりとしています。あまり期待できそうにありませんね。
この後に予定していた2001については、レビューをチェックしたところ上に挙げたような問題点は一切解消されておらず、あくまで著者のファン向け、あるいはキャラが好きなら、といった感じのようです。僕は著者のファンではないし、鳴ちゃんは良いキャラだと思いますがそのために800ページを読むのは辛いのでパスします。
同著者の「十角館の殺人」は面白いとのことですが、これも多分何かしら気になるんだろうなと思うと食指が動きません。多分、Anotherや著者がどうこうという話でなく、僕はミステリが好きじゃない、あるいは向いていないんでしょうね。
上でも触れましたが、ミステリって主人公=読者への挑戦状みたいな側面があると思うので、挑戦された以上は徹底的に粗探しをして叩き潰したいんですよ。それだけやってまんまとやられるなら清清しいじゃないですか、完敗ですよ。そういう敗北が欲しいんです。敵が勝手にルールを捻じ曲げるような卑怯な戦いは嫌いです。(「勝手に捻じ曲げた」と明言されるなら、それがルールなので問題無いです)
完全に叩き潰してくれるミステリなら大いに楽しめると思うんですが、それを探すのって難しいですよね。かなり読み進めないと判断できませんので。そうなると、今後はミステリを避けるのが無難という選択になってしまうかなぁ。
もちろんミステリ以外のジャンルでも「それはおかしいやろ」という部分はいくらでもあるんですけど、読者に挑んでこなければおかしくてもある程度は許容できます。おかしい部分が物語の根幹に関係無いのであれば、ですけれども。サザエさんが何度正月を迎えても24歳であるとか、おかしいけど別にどうでもいいじゃないですか。ドラえもんが栗まんじゅうを宇宙に捨てても別にいいんですよ。
ミステリは基本的に全ての情報が物語の根幹に結び付いてしまうので、そういった点で不利なんでしょうね。少しの綻びも許されない。ミステリ作家ってしんどい職業だなぁ。
以下、絵の話なので畳みます。
今週はいつもとは違ったベクトルで気持ち悪い絵です。
後 [雑記]
人生は地獄よりも地獄的らしい。
・日本の人口
この国は既に詰んでいる。
・ユニバース25
人口に関する興味深い実験の記録。
・今週の読書
いつものアレ。
・今週の進捗
絵の話。いつものアレ。
ほいではドン。
・日本の人口
人口の減少が加速していますね。出生数が物凄いペースで下がっているので当たり前っちゃ当たり前なんですけれども。昨今の接触回避で…というワケでもなく、多少の例外はあれど基本的には1973年から50年近く右肩下がりです。そりゃ減るわな。
人口が減っても年齢分布が変わらなければ純粋な規模縮小に過ぎないんですが、現代はそうではありません。子供の数は凄い勢いで減るのに、平均寿命は微増の一途です。ということは、人口ピラミッドがどんどん歪になって行くということですね。
それで何が問題かというと、やっぱり労働力の減少ですよね。支えて貰う人々は増えて行くのに、支える人は減って行く。いずれは耐えられなくなって倒れるでしょうね。
超単純に考えると、毎年1年分の人間が退職し、1年分の人間が就職します。定年が65歳で新卒が22歳だとするなら、毎年65歳の人が退職して、22歳の人が就職するってことです。最近は65歳じゃ退職しないケースも増えていますが、基本的には同じです。
※以下、65歳定年として話を進めます。
退職する人数と就職する人数が同じなら、労働力は安定した状態であると言えますね。ただし、寿命の延長により「支えて貰う人」は年々増えて行きますので、それに合わせて労働力も増えて行かなくては成り立ちません。そう、寿命の延長と同じペースで出生率が上昇して行かないとピラミッドが成り立たなくなるのです。低下なんてもってのほか。
が、現状は上の通りです。寿命は延び、出生率は低下して行くばかり。これによって「必要な労働者数」と「実際の労働者数」の差は凄い勢いで開いて行くことになります。
例えば今年は2000年生まれの人が22歳になっているはずなので、その人達が就職する(した)じゃないですか。一方、1957年生まれの人達は65歳となって退職します。
1957年の出生数は1,566,713人であり、2000年の出生数は1,190,547人でした。単純計算で、今年は労働者数が376,166人減るということですね。実際には65歳で退職しない人やそれ以前に退職した人、22歳で就職しない人やそれ以前に就職した人など、様々な事情があるのでこの通りにはなりません。あくまで単純化した形です。
このように計算して行くと、今後5年で300万人、10年で550万人、15年で1,000万人、20年で1,500万人以上もの労働者が減ることになります。上の通り様々な事情があるので実際はもっと緩やかかもしれませんが、ポイントは「年々、減少数が多くなる」ということ。これが一定値(具体値は不明)を超えたとき、社会の仕組みが機能不全に陥ります。
2000年と1957年の出生数の差は上の通り37.6万人でした。同様に22歳差で比較して行くと、2005年と1962年の差は55.6万人、2010年と1967年の差は86.4万人、2015年と1972年の差は103.2万人、2020年と1977年の差は90.9万人です。
出生数は1973年(第二次ベビーブーム)をピークとして減少に進んでいますから、ここから先は出生数の差が狭まってきます。労働力の減少が緩やかになるということですね。ただし、更に年を進めると出生数の減少ペースが加速しますから、再び差は広がって行きます。とはいえ絶対数が少ないので、大したインパクトは無いでしょう
よって、2020年生まれがデビューする2042年あたりが最も厳しい状況になるはずです。「2040年問題」と言われているヤツですね。ここを乗り切れないと日本は死にます。
はっきり言ってしまえば、2040年頃の日本は若者にとっては地獄と化していると思います。これはもう避けられません。今から出生率を上げても無駄です。その子らが育つ前にその時はやってくるのだから、救世主にはなれませんよ。
そもそも、地獄に備えて貯蓄しようという考えになってしまうので出生率はもう上がりません。子育てと蓄財は両立できない国なので。更に、地獄が訪れると思われる日本に子供を送り出すなんて気の毒じゃないですか。当たり前ですが子供には幸せになって欲しいものです。幸せになれない国になるなら産まない方が…と思うのも当然です。
人口関連の数字を眺めてみると、問題が顕在化するのは2010年生まれが就職する頃と思われます。このあたりから退職者数と新卒者数の乖離が爆発的に増加するためです。つまり今から10年後、地獄の釜の蓋が開くということになりますね。ここから日本が地獄へと向かって進み始め、2040年に到着。おいでませ、地獄。
2005年から2010年にかけて生まれた子は本当に気の毒です。それ以前、あるいはそれ以降に生まれた子も気の毒ですが、この世代は特に気の毒だと思います。
なにやらよく分からない騒ぎにより貴重な青春を妨害され、大人になったら地獄が待っている。そしてその未来は変えられそうにもない。変えられる可能性があるのは、その地獄の先の未来だけ。10年後に始まるであろう地獄を変えるには時間が無さ過ぎる。
2045年ぐらいになればシンギュラリティにより労働力そのものの価値が変わってくると思われるので、地獄は解消されるのかもしれない。それまで日本が存続していれば、ですが。そうなれば2015年以降に生まれた子は救われる可能性があります。
もちろん2005年に生まれた子もまだ存命なので救われると言えるんですが、若い時間の全てを地獄で過ごしたことは変えられないので、本質的に救われたとは言い難いです。失った時は戻ってきませんからね。本当に気の毒なことです。
一応、若い移民を大勢入れて即戦力を獲得するという荒技を使えば地獄の世代も助かる可能性があります。その場合は異文化の受容や治安維持等の問題を解決する必要があり、現在の日本(政治にも、国民にも)に何とかする力があるとは思えないので多分無理ですが。
一般的には十分に発展した国は人口が減って行くので、先進国は大体同じような道を歩みます。でも多くの先進国はなんとか踏み止まっていて、イギリス・フランス・アメリカなんかは人口が増えています。とはいえ時間差で同じ道を辿るでしょう。人口予測を見ると、現代を生きている人々にはほぼ関係無いぐらい未来の話っぽいですが。
現在の数字を見る限りでは、一番最初に沈没するのは日本と韓国のどちらかでしょうね。この2国については現代人が生きているうちに沈むかもしれない。僕のようなおっさんなら逃げ切れるかもですが、若者は直撃を食らう可能性も高いのでは。
ぶっちゃけもうどうにもならないので、若者は外国語を話せるようになった方がいいですよ。最低でも英語、余裕があれば中国語も。
・ユニバース25
少子化つながりなんですが、よく「少子化は経済のせいだ!国民が貧乏だから子供を産めない!」なんて話が出ますが、アレは違いますね。中にはそういう人々も存在するでしょうけど、主原因ではないでしょう。主原因は「興味が無いから」かと。
「ユニバース25」という実験があります。デマだとか嘘実験という話もありますが、アメリカの国立医学図書館?に資料が収められているので多分本当です。多分ね。
→アメリカの国立医学図書館
どんな実験かというと…
・食料が無限に湧いてきて不自由しない
・居住スペースは十分である
という環境にネズミを入れて、どのように発展して行くかを観察するという実験です。人間で言うと「衣食住整った楽園で好きにせよ」という環境です。そりゃ繁栄しますよね。
こちらに詳細がまとめられています
→ひきポス
要約すると
1.ある時点までは順調に人口(人じゃないけど)が増えた
2.人口が増えると争いが起こり、格差が生まれた
3.異常行動(引きこもり等)をとる個体が現れた
4.人口の増加が止まり、減少に転じた
5.子供が生まれなくなった
6.滅亡
という結果になりました。滅亡といっても実際には数匹のメスが生き残ったらしく(メスだけなので繁殖不能=実質的に滅亡)、それらの個体は別の環境に移されたそうです。が、環境が変わっても異常行動をとり続け孤独に死んで行ったとか。
げっ歯類と霊長類では社会性も生活様式も違うので完全に同じ道を辿ることは無いんですけど、何となく現在の日本の状況をトレースしているような気はしますよね。
戦後、全ての国民ががむしゃらに頑張っていた頃は人口が増え続けました(1の状況)。そして生活が安定してくると格差が顕在化し(2の状況)、その状態で安定化を迎えると引きこもりやコミュニケーション拒否が目立つようになり(3の状況)、人々が交わることを避けると人口減少が加速した(4の状況)。ここまでが現代の状況ですね。
更に出生率は低下の一途を辿り、近い将来に合計特殊出生率1.0を切るでしょう。これが5の状況です。そうなればもう回復する可能性はゼロですので、自動的に滅亡します。6の状況ですね。日本人もネズミと同じ道を辿るのではないでしょうか。
結局、経済に問題があろうが無かろうが少子化は起きるし、その結果として滅亡するというのは変わらないってことです。金があっても他人に興味が無ければ子供は生まれません。
ユニバース25と日本人の違いは、世界が閉ざされているか否かです。ユニバース25では外界と遮断されていますから、子供が生まれない=滅亡は確定的でした。しかし、日本は一応外界と繋がっていますから、外へ逃げることもできるし、外から新風を呼び込むこともできます。上でも書きましたが、結局のところ滅亡を避ける手段はこれ以外に無いのでは。
なんか日本を貶めることばかり書いていますが、別にそんな意図はありません。好きですよ、日本。平和で、清潔で、概ね平等(極端な貧乏が少ない)でいいじゃないですか。僕は物騒で不潔で貧乏な子供時代を過ごしましたが、それでも外国の「物騒で不潔で貧乏」と比べたら格段に「平和で清潔で裕福」だったでしょうよ。それは日本だからこそです。
でも、僕が日本を好きかどうかというのは感情の話であって、現実とは関係無いんです。この国は沈む。そんなに遠くない未来に。データからすると、そうとしか考えられません。何か起死回生の一手がない限りは覆せないでしょう。経済は小手先で何とかできても人間は増えませんからね。命は工業製品ではないので。
こういった文章を書くことにどんな意味があるのかというと、地震予測みたいなものだと思って頂ければ。「30年以内に大地震が発生する確率はXX%」と言われて久しいですが、いつまで経っても30年以内と言っています。が、それが無意味とは言えません。
なぜなら「いつか起きる」ということを知っているだけでも備えることができるし、いざそれがやってきた時にパニックに陥る可能性(あるいは度合い)を軽減できるからです。
陰謀論なんかではないし、恐怖煽りでもありません。ただ単純に「そういうデータが公表されている」というだけです。それを見て、どう考えるかという話です。考えたうえで「大丈夫だろう」と思うならそう思っても問題はありません。
「僕は超ヤバいと思っている」というお話でした。
・今週の読書
それではいつもの読書記録です。
今週読了した本:
1Q84 - 3(前編):村上春樹
1Q84 - 3(後編):村上春樹
現在読んでいる本:
パン屋を襲う:村上春樹
Another(上巻):綾辻行人
Another(下巻):綾辻行人
今後読みたい本:
ドグラ・マグラ:夢野久作
13階段:高野和明
天使の囀り:貴志祐介
死都日本:石黒耀
砂の女:安部公房
虐殺器官:伊藤計劃
三体:劉慈欣
テスカトリポカ:佐藤究
正欲:朝井リョウ
プロジェクト・ゼロ:石川英輔
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?:フィリップ・K・ディック
ニューロマンサー:ウィリアム・ギブスン
「1Q84」を読了しました。ノルウェイの森の下で5位かな、悪くはないのですが。「パン屋を襲う」も借りた日に読了しましたが、これはごく短い短編なので順位は付けられません。これで村上ツアーは終了ですね。「騎士団長殺し」や「アフターダーク」といった作品も有名なんですが、これらは読まないまま終わりということになります。
「Another」に取り掛かっていますが、こちらは今週中に読了予定です。この後は「Another エピソードS」「Another 2001」と続きますが、エピソードSは332ページ、2001は803ページで、合わせると1週辺りの規定ページ数(820前後)に収まりません。
両方合わせて1,135ページはオーバーし過ぎなので、来週は何か400ページ前後のもの+エピソードSで750ページ程度にして、再来週に2001にするとピッタリ合いますね。途中に別作品を挟みたくないのですが、計画ミス…というか無計画でした。
本当は今週の段階でパン屋+何か+Another(上巻)とし、来週はAnother(下巻)+エピソードS、再来週に2001とすればパーフェクトゲームでした。これは大失態。先々の予定本のページ数を調べて、ちゃんと組み立てておかないといかんですね。
内容とは関係無いんですが、Anotherの表紙イラストの眼の描き方がすごくいいですね。適度にデフォルメされていて、適度にリアル。遠田志帆さんという方の作品らしいです。
以下、絵の話なので畳みます。
・日本の人口
この国は既に詰んでいる。
・ユニバース25
人口に関する興味深い実験の記録。
・今週の読書
いつものアレ。
・今週の進捗
絵の話。いつものアレ。
ほいではドン。
・日本の人口
人口の減少が加速していますね。出生数が物凄いペースで下がっているので当たり前っちゃ当たり前なんですけれども。昨今の接触回避で…というワケでもなく、多少の例外はあれど基本的には1973年から50年近く右肩下がりです。そりゃ減るわな。
人口が減っても年齢分布が変わらなければ純粋な規模縮小に過ぎないんですが、現代はそうではありません。子供の数は凄い勢いで減るのに、平均寿命は微増の一途です。ということは、人口ピラミッドがどんどん歪になって行くということですね。
それで何が問題かというと、やっぱり労働力の減少ですよね。支えて貰う人々は増えて行くのに、支える人は減って行く。いずれは耐えられなくなって倒れるでしょうね。
超単純に考えると、毎年1年分の人間が退職し、1年分の人間が就職します。定年が65歳で新卒が22歳だとするなら、毎年65歳の人が退職して、22歳の人が就職するってことです。最近は65歳じゃ退職しないケースも増えていますが、基本的には同じです。
※以下、65歳定年として話を進めます。
退職する人数と就職する人数が同じなら、労働力は安定した状態であると言えますね。ただし、寿命の延長により「支えて貰う人」は年々増えて行きますので、それに合わせて労働力も増えて行かなくては成り立ちません。そう、寿命の延長と同じペースで出生率が上昇して行かないとピラミッドが成り立たなくなるのです。低下なんてもってのほか。
が、現状は上の通りです。寿命は延び、出生率は低下して行くばかり。これによって「必要な労働者数」と「実際の労働者数」の差は凄い勢いで開いて行くことになります。
例えば今年は2000年生まれの人が22歳になっているはずなので、その人達が就職する(した)じゃないですか。一方、1957年生まれの人達は65歳となって退職します。
1957年の出生数は1,566,713人であり、2000年の出生数は1,190,547人でした。単純計算で、今年は労働者数が376,166人減るということですね。実際には65歳で退職しない人やそれ以前に退職した人、22歳で就職しない人やそれ以前に就職した人など、様々な事情があるのでこの通りにはなりません。あくまで単純化した形です。
このように計算して行くと、今後5年で300万人、10年で550万人、15年で1,000万人、20年で1,500万人以上もの労働者が減ることになります。上の通り様々な事情があるので実際はもっと緩やかかもしれませんが、ポイントは「年々、減少数が多くなる」ということ。これが一定値(具体値は不明)を超えたとき、社会の仕組みが機能不全に陥ります。
2000年と1957年の出生数の差は上の通り37.6万人でした。同様に22歳差で比較して行くと、2005年と1962年の差は55.6万人、2010年と1967年の差は86.4万人、2015年と1972年の差は103.2万人、2020年と1977年の差は90.9万人です。
出生数は1973年(第二次ベビーブーム)をピークとして減少に進んでいますから、ここから先は出生数の差が狭まってきます。労働力の減少が緩やかになるということですね。ただし、更に年を進めると出生数の減少ペースが加速しますから、再び差は広がって行きます。とはいえ絶対数が少ないので、大したインパクトは無いでしょう
よって、2020年生まれがデビューする2042年あたりが最も厳しい状況になるはずです。「2040年問題」と言われているヤツですね。ここを乗り切れないと日本は死にます。
はっきり言ってしまえば、2040年頃の日本は若者にとっては地獄と化していると思います。これはもう避けられません。今から出生率を上げても無駄です。その子らが育つ前にその時はやってくるのだから、救世主にはなれませんよ。
そもそも、地獄に備えて貯蓄しようという考えになってしまうので出生率はもう上がりません。子育てと蓄財は両立できない国なので。更に、地獄が訪れると思われる日本に子供を送り出すなんて気の毒じゃないですか。当たり前ですが子供には幸せになって欲しいものです。幸せになれない国になるなら産まない方が…と思うのも当然です。
人口関連の数字を眺めてみると、問題が顕在化するのは2010年生まれが就職する頃と思われます。このあたりから退職者数と新卒者数の乖離が爆発的に増加するためです。つまり今から10年後、地獄の釜の蓋が開くということになりますね。ここから日本が地獄へと向かって進み始め、2040年に到着。おいでませ、地獄。
2005年から2010年にかけて生まれた子は本当に気の毒です。それ以前、あるいはそれ以降に生まれた子も気の毒ですが、この世代は特に気の毒だと思います。
なにやらよく分からない騒ぎにより貴重な青春を妨害され、大人になったら地獄が待っている。そしてその未来は変えられそうにもない。変えられる可能性があるのは、その地獄の先の未来だけ。10年後に始まるであろう地獄を変えるには時間が無さ過ぎる。
2045年ぐらいになればシンギュラリティにより労働力そのものの価値が変わってくると思われるので、地獄は解消されるのかもしれない。それまで日本が存続していれば、ですが。そうなれば2015年以降に生まれた子は救われる可能性があります。
もちろん2005年に生まれた子もまだ存命なので救われると言えるんですが、若い時間の全てを地獄で過ごしたことは変えられないので、本質的に救われたとは言い難いです。失った時は戻ってきませんからね。本当に気の毒なことです。
一応、若い移民を大勢入れて即戦力を獲得するという荒技を使えば地獄の世代も助かる可能性があります。その場合は異文化の受容や治安維持等の問題を解決する必要があり、現在の日本(政治にも、国民にも)に何とかする力があるとは思えないので多分無理ですが。
一般的には十分に発展した国は人口が減って行くので、先進国は大体同じような道を歩みます。でも多くの先進国はなんとか踏み止まっていて、イギリス・フランス・アメリカなんかは人口が増えています。とはいえ時間差で同じ道を辿るでしょう。人口予測を見ると、現代を生きている人々にはほぼ関係無いぐらい未来の話っぽいですが。
現在の数字を見る限りでは、一番最初に沈没するのは日本と韓国のどちらかでしょうね。この2国については現代人が生きているうちに沈むかもしれない。僕のようなおっさんなら逃げ切れるかもですが、若者は直撃を食らう可能性も高いのでは。
ぶっちゃけもうどうにもならないので、若者は外国語を話せるようになった方がいいですよ。最低でも英語、余裕があれば中国語も。
・ユニバース25
少子化つながりなんですが、よく「少子化は経済のせいだ!国民が貧乏だから子供を産めない!」なんて話が出ますが、アレは違いますね。中にはそういう人々も存在するでしょうけど、主原因ではないでしょう。主原因は「興味が無いから」かと。
「ユニバース25」という実験があります。デマだとか嘘実験という話もありますが、アメリカの国立医学図書館?に資料が収められているので多分本当です。多分ね。
→アメリカの国立医学図書館
どんな実験かというと…
・食料が無限に湧いてきて不自由しない
・居住スペースは十分である
という環境にネズミを入れて、どのように発展して行くかを観察するという実験です。人間で言うと「衣食住整った楽園で好きにせよ」という環境です。そりゃ繁栄しますよね。
こちらに詳細がまとめられています
→ひきポス
要約すると
1.ある時点までは順調に人口(人じゃないけど)が増えた
2.人口が増えると争いが起こり、格差が生まれた
3.異常行動(引きこもり等)をとる個体が現れた
4.人口の増加が止まり、減少に転じた
5.子供が生まれなくなった
6.滅亡
という結果になりました。滅亡といっても実際には数匹のメスが生き残ったらしく(メスだけなので繁殖不能=実質的に滅亡)、それらの個体は別の環境に移されたそうです。が、環境が変わっても異常行動をとり続け孤独に死んで行ったとか。
げっ歯類と霊長類では社会性も生活様式も違うので完全に同じ道を辿ることは無いんですけど、何となく現在の日本の状況をトレースしているような気はしますよね。
戦後、全ての国民ががむしゃらに頑張っていた頃は人口が増え続けました(1の状況)。そして生活が安定してくると格差が顕在化し(2の状況)、その状態で安定化を迎えると引きこもりやコミュニケーション拒否が目立つようになり(3の状況)、人々が交わることを避けると人口減少が加速した(4の状況)。ここまでが現代の状況ですね。
更に出生率は低下の一途を辿り、近い将来に合計特殊出生率1.0を切るでしょう。これが5の状況です。そうなればもう回復する可能性はゼロですので、自動的に滅亡します。6の状況ですね。日本人もネズミと同じ道を辿るのではないでしょうか。
結局、経済に問題があろうが無かろうが少子化は起きるし、その結果として滅亡するというのは変わらないってことです。金があっても他人に興味が無ければ子供は生まれません。
ユニバース25と日本人の違いは、世界が閉ざされているか否かです。ユニバース25では外界と遮断されていますから、子供が生まれない=滅亡は確定的でした。しかし、日本は一応外界と繋がっていますから、外へ逃げることもできるし、外から新風を呼び込むこともできます。上でも書きましたが、結局のところ滅亡を避ける手段はこれ以外に無いのでは。
なんか日本を貶めることばかり書いていますが、別にそんな意図はありません。好きですよ、日本。平和で、清潔で、概ね平等(極端な貧乏が少ない)でいいじゃないですか。僕は物騒で不潔で貧乏な子供時代を過ごしましたが、それでも外国の「物騒で不潔で貧乏」と比べたら格段に「平和で清潔で裕福」だったでしょうよ。それは日本だからこそです。
でも、僕が日本を好きかどうかというのは感情の話であって、現実とは関係無いんです。この国は沈む。そんなに遠くない未来に。データからすると、そうとしか考えられません。何か起死回生の一手がない限りは覆せないでしょう。経済は小手先で何とかできても人間は増えませんからね。命は工業製品ではないので。
こういった文章を書くことにどんな意味があるのかというと、地震予測みたいなものだと思って頂ければ。「30年以内に大地震が発生する確率はXX%」と言われて久しいですが、いつまで経っても30年以内と言っています。が、それが無意味とは言えません。
なぜなら「いつか起きる」ということを知っているだけでも備えることができるし、いざそれがやってきた時にパニックに陥る可能性(あるいは度合い)を軽減できるからです。
陰謀論なんかではないし、恐怖煽りでもありません。ただ単純に「そういうデータが公表されている」というだけです。それを見て、どう考えるかという話です。考えたうえで「大丈夫だろう」と思うならそう思っても問題はありません。
「僕は超ヤバいと思っている」というお話でした。
・今週の読書
それではいつもの読書記録です。
今週読了した本:
1Q84 - 3(前編):村上春樹
1Q84 - 3(後編):村上春樹
現在読んでいる本:
パン屋を襲う:村上春樹
Another(上巻):綾辻行人
Another(下巻):綾辻行人
今後読みたい本:
ドグラ・マグラ:夢野久作
13階段:高野和明
天使の囀り:貴志祐介
死都日本:石黒耀
砂の女:安部公房
虐殺器官:伊藤計劃
三体:劉慈欣
テスカトリポカ:佐藤究
正欲:朝井リョウ
プロジェクト・ゼロ:石川英輔
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?:フィリップ・K・ディック
ニューロマンサー:ウィリアム・ギブスン
「1Q84」を読了しました。ノルウェイの森の下で5位かな、悪くはないのですが。「パン屋を襲う」も借りた日に読了しましたが、これはごく短い短編なので順位は付けられません。これで村上ツアーは終了ですね。「騎士団長殺し」や「アフターダーク」といった作品も有名なんですが、これらは読まないまま終わりということになります。
「Another」に取り掛かっていますが、こちらは今週中に読了予定です。この後は「Another エピソードS」「Another 2001」と続きますが、エピソードSは332ページ、2001は803ページで、合わせると1週辺りの規定ページ数(820前後)に収まりません。
両方合わせて1,135ページはオーバーし過ぎなので、来週は何か400ページ前後のもの+エピソードSで750ページ程度にして、再来週に2001にするとピッタリ合いますね。途中に別作品を挟みたくないのですが、計画ミス…というか無計画でした。
本当は今週の段階でパン屋+何か+Another(上巻)とし、来週はAnother(下巻)+エピソードS、再来週に2001とすればパーフェクトゲームでした。これは大失態。先々の予定本のページ数を調べて、ちゃんと組み立てておかないといかんですね。
内容とは関係無いんですが、Anotherの表紙イラストの眼の描き方がすごくいいですね。適度にデフォルメされていて、適度にリアル。遠田志帆さんという方の作品らしいです。
以下、絵の話なので畳みます。
真 [雑記]
鏡に映るものは歪んでいる。
・猫
猫だって辛いのだ。
・今週の読書
いつものアレ。
・今週の進捗
絵の話。いつものアレ。
ほいではポン。
・猫
猫はずるい。寝ているだけでもっしゃもっしゃして貰える。僕だって寝ているだけでもっしゃもっしゃして貰いたいものだが、そんなのは不可能であるから仕方なくブランケットなどをもっしゃもっしゃしている。代償もしゃもしゃだ。
しかし、猫だって人間をずるいと思っているはずだ。猫は僕に対して「お前はいいな、もっしゃもっしゃされなくて」と思っているに違いない。それぞれにそれぞれの悩みがあり、全てが満たされている生物なんて存在しないんだ。
それに、僕が羨ましいと思っている猫は猫全体のほんの一握りに過ぎず、良い飼い主のもとに辿り着けた猫、猫に優しい地域に辿り着いた野良猫、代々野生で生活している猫ぐらいであろうと思われる。野生猫の生活はかなり過酷なものだと思うが、それは代々受け継がれてきた自然の営みであり不幸ではない。(幸せかは不明)
それ以外の多くの猫がかわいそうであり、人間の方が概ね恵まれていてずるい。もちろん悲惨な目に遭っている人間も大勢いて、全員が恵まれているわけではない。傾向の話だ。
それでもやっぱり、猫はいいなぁと思ってしまう。寝ているだけでもっしゃもっしゃして貰いたいなぁと思ってしまう。欲望というものはキリが無いんだな。
・今週の読書
はい、それではいつもの読書記録です。
今週読了した本:
1Q84 - 2(前編):村上春樹
1Q84 - 2(後編):村上春樹
現在読んでいる本:
1Q84 - 3(前編):村上春樹
1Q84 - 3(後編):村上春樹
今後読みたい本:
パン屋を襲う:村上春樹
Another:綾辻行人
ドグラ・マグラ:夢野久作
13階段:高野和明
天使の囀り:貴志祐介
死都日本:石黒耀
砂の女:安部公房
虐殺器官:伊藤計劃
三体:劉慈欣
テスカトリポカ:佐藤究
正欲:朝井リョウ
プロジェクト・ゼロ:石川英輔
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?:フィリップ・K・ディック
ニューロマンサー:ウィリアム・ギブスン
1Q84も佳境に入り、今週で終わりですね。無駄な性描写が多かった1巻(上下)が終わってからは物語の濃度が上がって面白くなっていて、2巻は文句無しの面白さでした。3巻(上)もその路線を継続しているので、このまま最後まで行ってくれるでしょう。
来週からは読みたいリストの上から消化して行く予定です。貸し出し待ちがあれば後に回したり、規定ページ数(週700~840程度)を超過するようであれば調整して行きます。ただし長編を中断するのは嫌なので、そこは例外運用もアリという感じで。
長編といえば、世界一長いということでギネスに登録されているプルーストの「失われた時を求めて」も気になるといえば気になるんですよね。名著と言われていますし。
軽く調べてみたところ、日本語訳版でおよそ350万~400万文字ぐらいあるらしいです。長い小説として有名な「戦争と平和」は150万~180万文字程度らしいので、2倍チョイあるみたいですね。僕は戦争と平和を読破しているので無謀な挑戦ではないと思いますが、かなりの覚悟を持って取り組む必要があることは確かです。
ページ数にすると(全集版で)4,415ページですが、ページ数でボリューム感を探るのはちょっと難しいんですよね。何せ文字の大きさによって随分と違ってくるので。僕の持っている戦争と平和は岩波書店版で2,392ページなんですが、光文社版は3,315ページもあります。岩波版はむちゃくちゃ文字が小さいんですよ。だから1,000ページも差が出てしまう。
長編であるほど差が広がって行くので、ページ数で判断するのはちょっと危ないですね。最近の本なら文字の大きさは大体統一されていると思うのであまり問題無さそうですが。
戦争と平和(岩波)の文字の大きさだと多分1ページ1.5分ぐらい。180万文字を2,392ページで割ると752.5なので、1ページ平均752.5文字。ということは1秒で8.36文字。いや、そんなに読めるかな…日本人の平均が「1分あたり400~600文字」らしいので、中間値で500文字とすると1秒8.33文字。おおおおおお、スゲェ。ピッタリじゃん。
ということは、400万文字を読むのに要する時間は478,468秒=132.9時間です。1日あたり2時間読むとすると66.5日=2ヶ月チョイです。これはしんどい。読みたいリストが空になったら読むとしますか…その間にまたリストも溜まるでしょうし。
以下、絵の話なので畳みます。
・猫
猫だって辛いのだ。
・今週の読書
いつものアレ。
・今週の進捗
絵の話。いつものアレ。
ほいではポン。
・猫
猫はずるい。寝ているだけでもっしゃもっしゃして貰える。僕だって寝ているだけでもっしゃもっしゃして貰いたいものだが、そんなのは不可能であるから仕方なくブランケットなどをもっしゃもっしゃしている。代償もしゃもしゃだ。
しかし、猫だって人間をずるいと思っているはずだ。猫は僕に対して「お前はいいな、もっしゃもっしゃされなくて」と思っているに違いない。それぞれにそれぞれの悩みがあり、全てが満たされている生物なんて存在しないんだ。
それに、僕が羨ましいと思っている猫は猫全体のほんの一握りに過ぎず、良い飼い主のもとに辿り着けた猫、猫に優しい地域に辿り着いた野良猫、代々野生で生活している猫ぐらいであろうと思われる。野生猫の生活はかなり過酷なものだと思うが、それは代々受け継がれてきた自然の営みであり不幸ではない。(幸せかは不明)
それ以外の多くの猫がかわいそうであり、人間の方が概ね恵まれていてずるい。もちろん悲惨な目に遭っている人間も大勢いて、全員が恵まれているわけではない。傾向の話だ。
それでもやっぱり、猫はいいなぁと思ってしまう。寝ているだけでもっしゃもっしゃして貰いたいなぁと思ってしまう。欲望というものはキリが無いんだな。
・今週の読書
はい、それではいつもの読書記録です。
今週読了した本:
1Q84 - 2(前編):村上春樹
1Q84 - 2(後編):村上春樹
現在読んでいる本:
1Q84 - 3(前編):村上春樹
1Q84 - 3(後編):村上春樹
今後読みたい本:
パン屋を襲う:村上春樹
Another:綾辻行人
ドグラ・マグラ:夢野久作
13階段:高野和明
天使の囀り:貴志祐介
死都日本:石黒耀
砂の女:安部公房
虐殺器官:伊藤計劃
三体:劉慈欣
テスカトリポカ:佐藤究
正欲:朝井リョウ
プロジェクト・ゼロ:石川英輔
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?:フィリップ・K・ディック
ニューロマンサー:ウィリアム・ギブスン
1Q84も佳境に入り、今週で終わりですね。無駄な性描写が多かった1巻(上下)が終わってからは物語の濃度が上がって面白くなっていて、2巻は文句無しの面白さでした。3巻(上)もその路線を継続しているので、このまま最後まで行ってくれるでしょう。
来週からは読みたいリストの上から消化して行く予定です。貸し出し待ちがあれば後に回したり、規定ページ数(週700~840程度)を超過するようであれば調整して行きます。ただし長編を中断するのは嫌なので、そこは例外運用もアリという感じで。
長編といえば、世界一長いということでギネスに登録されているプルーストの「失われた時を求めて」も気になるといえば気になるんですよね。名著と言われていますし。
軽く調べてみたところ、日本語訳版でおよそ350万~400万文字ぐらいあるらしいです。長い小説として有名な「戦争と平和」は150万~180万文字程度らしいので、2倍チョイあるみたいですね。僕は戦争と平和を読破しているので無謀な挑戦ではないと思いますが、かなりの覚悟を持って取り組む必要があることは確かです。
ページ数にすると(全集版で)4,415ページですが、ページ数でボリューム感を探るのはちょっと難しいんですよね。何せ文字の大きさによって随分と違ってくるので。僕の持っている戦争と平和は岩波書店版で2,392ページなんですが、光文社版は3,315ページもあります。岩波版はむちゃくちゃ文字が小さいんですよ。だから1,000ページも差が出てしまう。
長編であるほど差が広がって行くので、ページ数で判断するのはちょっと危ないですね。最近の本なら文字の大きさは大体統一されていると思うのであまり問題無さそうですが。
戦争と平和(岩波)の文字の大きさだと多分1ページ1.5分ぐらい。180万文字を2,392ページで割ると752.5なので、1ページ平均752.5文字。ということは1秒で8.36文字。いや、そんなに読めるかな…日本人の平均が「1分あたり400~600文字」らしいので、中間値で500文字とすると1秒8.33文字。おおおおおお、スゲェ。ピッタリじゃん。
ということは、400万文字を読むのに要する時間は478,468秒=132.9時間です。1日あたり2時間読むとすると66.5日=2ヶ月チョイです。これはしんどい。読みたいリストが空になったら読むとしますか…その間にまたリストも溜まるでしょうし。
以下、絵の話なので畳みます。
電 [雑記]
結局のところ、人間も電気信号で制御されたタンパク質に過ぎないのだが。
今週はこんな内容でごんす。
・シンギュラリティ
AIが支配する世界は訪れないかもしれないが、世界は変わる。
・今週の読書
いつものアレ。
・英語2
絵の話。英語コメントを頂いた話。
・今週の進捗
絵の話。いつものアレ。
ほいではポン。
・シンギュラリティ
「2045年にはAIが人間の知能を超え、AIが自力で勝手に成長し始める」的なアレです。一般的に広まっているのは大体そんな感じの意味合いですが、厳密には間違っているんですよ。大筋は間違っていないのでさして問題ではないのですが。
まず、人間の処理能力は一般的には10ペタFlops(=1京Flops)程度と言われています。これがどれくらいかというと、最新の家庭用PCで1テラFlops=人間の1万分の1ぐらいです(GPUはその10倍に到達していますが)。スパコンの京がその名の通り1京=10ペタFlopsで、富岳が440ペタFlops、今年か来年には1エクサ(1,000ペタ)Flopsのスパコンが稼動します。スパコンは既に人間の知能を大幅に超えているということになりますね。
※人間の処理能力は38ペタFlopsであるとか、そもそも単純な機構ではないので数値で表すのは不可能だとか、諸説あるので参考程度というところです。
シンギュラリティのロードマップにおいては、スパコンのようなものでなく一般に普及するPCが10ペタFlopsぐらいの能力を持つようになるのが2020年代半ばであると予測しています。当然ハードウェアだけではどうにもならないんですが、ソフトウェアやら何やら含めて2020年代後半には環境が整い、会話においては人工知能と人間の区別がつかなくなるとされています。(これをチューリングテストといいます)
「人間のようなアンドロイドが誕生する」となるとロボット工学や材料工学の発展も必要となってくるのでまだまだ先の話ですが、とりあえず人間的な会話が出来るだけでも世界が変わりますよね。ぶっちゃけ、友達はAIで良いという話になります。
身体が無いので、一緒に旅行へ行ったり、買い物へ行ったりすることはできません。でも、ゲームをしたり、映画を見たり、雑談や相談をしたりするなら身体は不要です。もちろん「そこにいる」という存在感はありませんが、今のネット社会だって同じじゃないですか。回線の向こうにいる人がAIであっても何も変わらないでしょう。
どうしても視覚的なものが必要だというなら、機械的に生成した映像でも流しておけばいいのです。それが実際の人間である必要性は皆無です。それは現代のVRを更にリアルに進化させた形でしかないので、決して不可能なことではないでしょうし。
リアルな人間関係が面倒臭いとされる昨今、このような「AIフレンド」はきっと多くの若者に受け入れられるはずです。身体的接触を必要としない人も増えていることから、友達だけでなく恋人もAIでいいのかもしれません。というか、その境界自体が不要ですよね。呼称が違うだけであって、実際の所は友達と恋人を分ける意味は無いです。
思考のレベルが人間と同等であるなら、デスクワークはほぼ全てAIに任せられます。例えばプログラマであれば、よほどテクニカルなコーディングを必要とする場面以外では一般的な技術で仕様書通りのものを作ってくれればいいので、人間である必要はありません。実際、コーディングの自動化はかなり普及してきていますしね。そのような感じで多くの仕事が人間の手を離れることとなるでしょうね。
僕はずっと「人間のようなアンドロイドが活躍する世界」を見たいと思っていました。そしてそれは早くても2045年ぐらいのことだと考えていたし、その頃には自分が老人となっていることを残念に思っていました。でも、改めて考えると本当の劇的変化はもっと前に訪れるんですよね。機械の身体があるかどうかというのは、実は本質的な変化ではないということに気付きました。人間の本質は思考なのです。
正直なところ、これから数年でパソコンの性能が10ペタFlops(現在の1万倍、GPUでも1,000倍)になるとは思えません。でも一家に一台AIが必要なわけではないので、そんな性能は必要ではありません。どこかの高速サーバに搭載されたAIに接続すればいいだけです。ですので、ハードウェアの問題は恐らく予測通り2020年代中に解決されるでしょう。
問題はソフトウェアだと思うんですよね。ハードウェアがどれだけ進歩してもソフトウェアがついてこなければ意味が無いので、これがネックになるのではないかと思っています。AIソフトウェアには「特化型」と「汎用型」がありまして…
特化型はとあるアクションに対して特化したAIであり、例えば自動運転とか自動掃除機ですね。ある作業のスペシャリストであり、それ以外はできません。こちらは用途が絞られている分シンプルなので、既に実用化されていますね。
汎用型は一言でいえば「人間」です。何らかの使命に従うわけではなく、自力で学習し、自力で動くAIです。特化型と比べると非常に複雑なのでまだ実用化されていません。
恐らく「AIフレンド」は汎用型になるんじゃないかと思うんです。「会話」に特化した特化型でもいいんでしょうけれど、それは成立しないような気がするんですよね。基本的には返答することに特化していればOKなんですけど、会話ってかなり多くの要素を含んでいるじゃないですか。それらの要素を経験することが出来ないと会話は成立しないと思うんです。だから「会話特化」は実質的に「汎用型」なんです。
ネットを検索して知識を蓄えることはできると思うんです。今の会話AIは基本的にその仕組みです。だから「ライオンについて」という話をすればネットで仕入れた情報を元にライオンの話をしてくれます。誰かの知識を話すだけですが。
でも「いま対戦したゲームの感想」なんてネットを検索してもありませんよね。そのゲームの感想はあるけれど「いまの対戦」はその世界にひとつだけの経験なので、それに関する情報はありません。だから何も答えられないはずです。ネットから仕入れた情報で答えたら違和感満載の嘘になってしまいます。それでは「AIフレンド」として成立しません。
「ゲームフレンド特化AI」がゲームの相手をして「映画フレンド特化AI」が映画の相手をするという手もありますが、それはつまり「同一の友達とゲーム・映画を楽しむことができない」ということを意味します。裏で知識の共有を行うことで「そういえば昨日やったゲームだけど」なんていう話にも対応することは可能でしょうから、無理ではないのですが。
単独の汎用型AIを用いたAIフレンドと、複数の特化型AIを統合したAIフレンドでは、恐らく後者の方が遥かに簡単に開発できると思います。なので最初に出現するAIフレンドはこちらのタイプになるでしょうね。リソースの消費は激しそうですが、そこはハードウェアの進歩で解決できるでしょうから問題は無いでしょう。
ただし、特化型AIの集合体ですから、できることは予め用意されたものに限られます。「友達と一緒にやること」が世の中にどれぐらいあるのかは知りませんが、メジャーな趣味はそんなに多くないのでさして問題にはならないでしょう。
日常会話については「会話特化AI」がネットから情報収集して仮想人格の仮想人生を作り上げれば対応できます。人間なら分からないことがあって当然ですから、AIだって知らないことは「知らない」って言えばいいだけですし、その方が自然です。
「AIフレンド」が登場した時点で、世界は大きく変わります。技術の発展による仕事のあり方の変化や、生活様式の変化にばかり注目しがちですが、人間関係のあり方が変わるということこそが、世界のあり方が変わるということなのです。それはつまり、人間そのものの価値が変わるということなのですから。
この劇的な瞬間を(恐らく高い確率で)見られるであろうということがとても嬉しい。50年遅く生まれてもダメだったし、50年早く生まれてもダメでした。世界の変革に立ち会える権利を得ることができたというのはとても喜ばしいことだと思います。
どちらかというと得意な分野ではあるので、猛勉強すれば極々微力ながら変革のお手伝いができるかもしれません。でも、高等技術なので全く手も足も出ない可能性は高いし、花火って真下から見るより遠くから眺めた方が美しいじゃないですか。他力本願で申し訳ない限りですが、僕は遠くの山から眺めていようと思います。はい。
・今週の読書
はい、それではいつもの読書記録です。
今週読了した本:
1Q84 - 1(前編):村上春樹
1Q84 - 1(後編):村上春樹
現在読んでいる本:
1Q84 - 2(前編):村上春樹
1Q84 - 2(後編):村上春樹
今後読みたい本:
パン屋を襲う:村上春樹
Another:綾辻行人
ドグラ・マグラ:夢野久作
13階段:高野和明
天使の囀り:貴志祐介
死都日本:石黒耀
砂の女:安部公房
虐殺器官:伊藤計劃
三体:劉慈欣
テスカトリポカ:佐藤究
正欲:朝井リョウ
プロジェクト・ゼロ:石川英輔
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?:フィリップ・K・ディック
ニューロマンサー:ウィリアム・ギブスン
引き続き「1Q84」を読んでいます。話自体はハードボイルドワンダーランド系で面白いんですが、無駄に性描写を入れてくるんですよね。「国境の南」みたいにそれが意味のあるものならいいんですけど、本作のソレは正直ほぼ意味無いんですよ。
ただ単に「村上春樹と言えばセックスだろう」という読者の期待に応えているだけにしか見えないんですよね。物語にとっては不純物以外の何ものでもないという印象です。受け取り方は人それぞれなので、あくまで僕にとっては、の話ですが。
それはそれとして、これまで読んだ本の感想や、このブログの話題の傾向からして「ああこいつはSFが好きなんだな」とお気付きの方もいらっしゃったかと思うんですが、僕自身が気付いていませんでした。気付いていなかったというか、あまりにも自然なことだったので特別好きなんだとは思っていませんでした。
SFが好きといっても銀英伝やスターウォーズのような「超科学は舞台装置であって、それ自体が主体ではない物語」には全く興味がなくて、あくまで超科学が主体であるものに限ります。というか、人造人間が好きなんでしょうね。いや、好きです。確実に。
そういった訳で「プロジェクト・ゼロ」「電気羊」「ニューロマンサー」の3本を読みたい本に追加しました。「プロジェクト・ゼロ」は絶版本なので古本以外入手不可です。市内の図書館に1冊だけあったので、取り寄せしたいと思います。
以下、絵の話なので畳みます。
今週はこんな内容でごんす。
・シンギュラリティ
AIが支配する世界は訪れないかもしれないが、世界は変わる。
・今週の読書
いつものアレ。
・英語2
絵の話。英語コメントを頂いた話。
・今週の進捗
絵の話。いつものアレ。
ほいではポン。
・シンギュラリティ
「2045年にはAIが人間の知能を超え、AIが自力で勝手に成長し始める」的なアレです。一般的に広まっているのは大体そんな感じの意味合いですが、厳密には間違っているんですよ。大筋は間違っていないのでさして問題ではないのですが。
まず、人間の処理能力は一般的には10ペタFlops(=1京Flops)程度と言われています。これがどれくらいかというと、最新の家庭用PCで1テラFlops=人間の1万分の1ぐらいです(GPUはその10倍に到達していますが)。スパコンの京がその名の通り1京=10ペタFlopsで、富岳が440ペタFlops、今年か来年には1エクサ(1,000ペタ)Flopsのスパコンが稼動します。スパコンは既に人間の知能を大幅に超えているということになりますね。
※人間の処理能力は38ペタFlopsであるとか、そもそも単純な機構ではないので数値で表すのは不可能だとか、諸説あるので参考程度というところです。
シンギュラリティのロードマップにおいては、スパコンのようなものでなく一般に普及するPCが10ペタFlopsぐらいの能力を持つようになるのが2020年代半ばであると予測しています。当然ハードウェアだけではどうにもならないんですが、ソフトウェアやら何やら含めて2020年代後半には環境が整い、会話においては人工知能と人間の区別がつかなくなるとされています。(これをチューリングテストといいます)
「人間のようなアンドロイドが誕生する」となるとロボット工学や材料工学の発展も必要となってくるのでまだまだ先の話ですが、とりあえず人間的な会話が出来るだけでも世界が変わりますよね。ぶっちゃけ、友達はAIで良いという話になります。
身体が無いので、一緒に旅行へ行ったり、買い物へ行ったりすることはできません。でも、ゲームをしたり、映画を見たり、雑談や相談をしたりするなら身体は不要です。もちろん「そこにいる」という存在感はありませんが、今のネット社会だって同じじゃないですか。回線の向こうにいる人がAIであっても何も変わらないでしょう。
どうしても視覚的なものが必要だというなら、機械的に生成した映像でも流しておけばいいのです。それが実際の人間である必要性は皆無です。それは現代のVRを更にリアルに進化させた形でしかないので、決して不可能なことではないでしょうし。
リアルな人間関係が面倒臭いとされる昨今、このような「AIフレンド」はきっと多くの若者に受け入れられるはずです。身体的接触を必要としない人も増えていることから、友達だけでなく恋人もAIでいいのかもしれません。というか、その境界自体が不要ですよね。呼称が違うだけであって、実際の所は友達と恋人を分ける意味は無いです。
思考のレベルが人間と同等であるなら、デスクワークはほぼ全てAIに任せられます。例えばプログラマであれば、よほどテクニカルなコーディングを必要とする場面以外では一般的な技術で仕様書通りのものを作ってくれればいいので、人間である必要はありません。実際、コーディングの自動化はかなり普及してきていますしね。そのような感じで多くの仕事が人間の手を離れることとなるでしょうね。
僕はずっと「人間のようなアンドロイドが活躍する世界」を見たいと思っていました。そしてそれは早くても2045年ぐらいのことだと考えていたし、その頃には自分が老人となっていることを残念に思っていました。でも、改めて考えると本当の劇的変化はもっと前に訪れるんですよね。機械の身体があるかどうかというのは、実は本質的な変化ではないということに気付きました。人間の本質は思考なのです。
正直なところ、これから数年でパソコンの性能が10ペタFlops(現在の1万倍、GPUでも1,000倍)になるとは思えません。でも一家に一台AIが必要なわけではないので、そんな性能は必要ではありません。どこかの高速サーバに搭載されたAIに接続すればいいだけです。ですので、ハードウェアの問題は恐らく予測通り2020年代中に解決されるでしょう。
問題はソフトウェアだと思うんですよね。ハードウェアがどれだけ進歩してもソフトウェアがついてこなければ意味が無いので、これがネックになるのではないかと思っています。AIソフトウェアには「特化型」と「汎用型」がありまして…
特化型はとあるアクションに対して特化したAIであり、例えば自動運転とか自動掃除機ですね。ある作業のスペシャリストであり、それ以外はできません。こちらは用途が絞られている分シンプルなので、既に実用化されていますね。
汎用型は一言でいえば「人間」です。何らかの使命に従うわけではなく、自力で学習し、自力で動くAIです。特化型と比べると非常に複雑なのでまだ実用化されていません。
恐らく「AIフレンド」は汎用型になるんじゃないかと思うんです。「会話」に特化した特化型でもいいんでしょうけれど、それは成立しないような気がするんですよね。基本的には返答することに特化していればOKなんですけど、会話ってかなり多くの要素を含んでいるじゃないですか。それらの要素を経験することが出来ないと会話は成立しないと思うんです。だから「会話特化」は実質的に「汎用型」なんです。
ネットを検索して知識を蓄えることはできると思うんです。今の会話AIは基本的にその仕組みです。だから「ライオンについて」という話をすればネットで仕入れた情報を元にライオンの話をしてくれます。誰かの知識を話すだけですが。
でも「いま対戦したゲームの感想」なんてネットを検索してもありませんよね。そのゲームの感想はあるけれど「いまの対戦」はその世界にひとつだけの経験なので、それに関する情報はありません。だから何も答えられないはずです。ネットから仕入れた情報で答えたら違和感満載の嘘になってしまいます。それでは「AIフレンド」として成立しません。
「ゲームフレンド特化AI」がゲームの相手をして「映画フレンド特化AI」が映画の相手をするという手もありますが、それはつまり「同一の友達とゲーム・映画を楽しむことができない」ということを意味します。裏で知識の共有を行うことで「そういえば昨日やったゲームだけど」なんていう話にも対応することは可能でしょうから、無理ではないのですが。
単独の汎用型AIを用いたAIフレンドと、複数の特化型AIを統合したAIフレンドでは、恐らく後者の方が遥かに簡単に開発できると思います。なので最初に出現するAIフレンドはこちらのタイプになるでしょうね。リソースの消費は激しそうですが、そこはハードウェアの進歩で解決できるでしょうから問題は無いでしょう。
ただし、特化型AIの集合体ですから、できることは予め用意されたものに限られます。「友達と一緒にやること」が世の中にどれぐらいあるのかは知りませんが、メジャーな趣味はそんなに多くないのでさして問題にはならないでしょう。
日常会話については「会話特化AI」がネットから情報収集して仮想人格の仮想人生を作り上げれば対応できます。人間なら分からないことがあって当然ですから、AIだって知らないことは「知らない」って言えばいいだけですし、その方が自然です。
「AIフレンド」が登場した時点で、世界は大きく変わります。技術の発展による仕事のあり方の変化や、生活様式の変化にばかり注目しがちですが、人間関係のあり方が変わるということこそが、世界のあり方が変わるということなのです。それはつまり、人間そのものの価値が変わるということなのですから。
この劇的な瞬間を(恐らく高い確率で)見られるであろうということがとても嬉しい。50年遅く生まれてもダメだったし、50年早く生まれてもダメでした。世界の変革に立ち会える権利を得ることができたというのはとても喜ばしいことだと思います。
どちらかというと得意な分野ではあるので、猛勉強すれば極々微力ながら変革のお手伝いができるかもしれません。でも、高等技術なので全く手も足も出ない可能性は高いし、花火って真下から見るより遠くから眺めた方が美しいじゃないですか。他力本願で申し訳ない限りですが、僕は遠くの山から眺めていようと思います。はい。
・今週の読書
はい、それではいつもの読書記録です。
今週読了した本:
1Q84 - 1(前編):村上春樹
1Q84 - 1(後編):村上春樹
現在読んでいる本:
1Q84 - 2(前編):村上春樹
1Q84 - 2(後編):村上春樹
今後読みたい本:
パン屋を襲う:村上春樹
Another:綾辻行人
ドグラ・マグラ:夢野久作
13階段:高野和明
天使の囀り:貴志祐介
死都日本:石黒耀
砂の女:安部公房
虐殺器官:伊藤計劃
三体:劉慈欣
テスカトリポカ:佐藤究
正欲:朝井リョウ
プロジェクト・ゼロ:石川英輔
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?:フィリップ・K・ディック
ニューロマンサー:ウィリアム・ギブスン
引き続き「1Q84」を読んでいます。話自体はハードボイルドワンダーランド系で面白いんですが、無駄に性描写を入れてくるんですよね。「国境の南」みたいにそれが意味のあるものならいいんですけど、本作のソレは正直ほぼ意味無いんですよ。
ただ単に「村上春樹と言えばセックスだろう」という読者の期待に応えているだけにしか見えないんですよね。物語にとっては不純物以外の何ものでもないという印象です。受け取り方は人それぞれなので、あくまで僕にとっては、の話ですが。
それはそれとして、これまで読んだ本の感想や、このブログの話題の傾向からして「ああこいつはSFが好きなんだな」とお気付きの方もいらっしゃったかと思うんですが、僕自身が気付いていませんでした。気付いていなかったというか、あまりにも自然なことだったので特別好きなんだとは思っていませんでした。
SFが好きといっても銀英伝やスターウォーズのような「超科学は舞台装置であって、それ自体が主体ではない物語」には全く興味がなくて、あくまで超科学が主体であるものに限ります。というか、人造人間が好きなんでしょうね。いや、好きです。確実に。
そういった訳で「プロジェクト・ゼロ」「電気羊」「ニューロマンサー」の3本を読みたい本に追加しました。「プロジェクト・ゼロ」は絶版本なので古本以外入手不可です。市内の図書館に1冊だけあったので、取り寄せしたいと思います。
以下、絵の話なので畳みます。