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モモ - その後の考察 [学問]

時は金なり、金は時に非ず。

ミヒャエル・エンデ著「モモ」の本当のテーマとはなんだったのか…
それは『利子が利子を生む経済システムへの疑問を抱かせること』だとか。(Wikipediaより)

灰色の男は、時間銀行のシステムをこのように説明しました。(意訳)

『私たちは、あなたの時間を預かるだけでなく利子までお付け致します。
もしもあなたが預けた時間を5年間引き出さずにいたら、預けた時間と同じだけの時間を
利子としてお支払い致します。あなたの財産は5年で元の2倍、10年で4倍、40年後には
なんと256倍にもなるのです!』

定期預金みたいなものですね。
数字が大げさなのは、本当のテーマを浮き彫りにするためでしょう。

5時間預けると、5年後に5時間の利子がついて10時間になります。
更に5年後には元金である5時間と5年分の利子である5時間が更に倍になり20時間。

元金だけで考えるなら5年後にも5時間、10年経っても5時間であるはずですよね。
つまり、この差額の15時間は無から生まれた時間なんです。

エンデは「時間」に置き換えて表現していますが、これはまさに「金」のことでしょう。
無から生まれた金…金とは一体なんなのか。

金、それは労働の対価です。
労働力を支払うことによって金を得ることができ、その金をまた別の労働力と交換します。

仕事(自分の労働) → 給料(労働と金を交換) → 食料購入(農家の労働と金を交換)

このように、労働は金を介して労働と交換されます。
では、無から生み出された「利子」という金は一体何の対価なのでしょうか?
銀行員の労働の対価だというのなら、利子は「支払うもの」であるべきです。

では、なぜ預けた人が貰えるのか?
預金というのは、金貸しなんですよ。預けることによって銀行に金を貸しているんです。
だから銀行は利子を支払ってくれているんですよね。(二束三文ですが)

じゃあ銀行はそんなに金を借りて何をしているのか?
銀行は、借りた金を貸して利益を得ています。他にも色々とやってはいますけど。

銀行は集まった金を使って莫大な金額の貸し付けを行います。
そこに発生する利子は現在の労働力では返済不能な金額であるため、借り手は必ず返す
という約束を担保に借りることとなります。住宅ローン等もコレですね。
つまり、金と架空の労働力を取引しているんです。(これらは信用で代用されます)

こうなってくると、金は労働の対価であるという単純な図式が崩れてきます。
数字の上では何兆円もの金が存在したとしても、「現在の労働力」はその対価としては
現存しないものなんです。未来の労働力を前借しているのですから。


結局のところ、架空の金、労働力が存在することにより金と労働の関係は複雑化するのです。
これらを産むのは利子だけではありませんね、「現実の金」以外の全ての金の問題です。
これが良いのか悪いのかは僕にはわかりませんが、このような架空の金、架空の労働力が
増え続けるのであれば、いずれは破綻する時が来るでしょう。

だって、絶対に現実世界と帳尻が合わないのですから。
永遠にマネーゲームをやっているだけなら良いのでしょうが、現実はそうはいかないのでは。
いずれ、転機が訪れるのでしょう。僕が生きている内には無さそうですが…


と、つらつらと書いたものの結構間違っている部分も多々あるかと思います。
有識者の方々、どうぞお手柔らかに('`)

追記:
考えが纏まらないままに勢いで書いてしまい、とても読めたものではなかったので
言葉選びを少し変更しました。意味合いは当初のままです。
また、僕の意見を全く書いておりませんでしたので少し書こうと思います。

恐らく利子自体には何の問題もない。
利子は「労働力の対価でなく、どこかから生まれた謎の金」という不気味な存在ですが
実は無理に労働と結びつけようとするから不気味な存在になるのだと思うのです。

利子というのは、感謝の対価なんです。
「貸してくれてありがとう」という気持ちが利子の源になっているのではないかと。
そう考えると、利子というものはあって当然のものであると理解できます。

結局のところ、利子が利子を生むというと不自然に思えますが、かつて利子であった金は
一旦は貸し手の財産になっているので、利子が利子を生んだわけではないのです。
利子が財産となり、財産が利子を生む…と。

しかしながら、ここにはやはり大きな問題があります。
労働力は物理的なものなので有限ですが、感謝の気持ちは精神的なものなので無限です。
そして双方の対価である金には「労働力の対価」と「精神の対価」の区別がありません。
つまり、有限であるものと無限であるものが金という存在によって統一されてしまうのです。

金は不死身の存在です。貨幣価値の変動に影響されるものの、消失することはありません。
有限…つまり不死身でない労働力と、無限…つまり不死身である精神が不死身である金に
統合されることによって、死すべき労働力は永遠の命を得るのです。

これは利子の問題ではなく、金そのものの問題です。
もっと深く掘り下げることで、何かが見つかりそうな気はするのですけれども…
これから筋トレなので、今日はここまでということで('w`)
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ゆうみ

つり合いもおまけもわからないのよ
この頃強烈貧乏一直線中

by ゆうみ (2013-06-18 19:00) 

けーちゃん

こんばんは。
毎日こんなに事件が起こると、小説より面白いんじゃないかと思います。
モモは深そうですね。たまには違う本も良いかな?
せんせは紹介が上手いので、読んでみたくなるんですよね。
時間がテーマとは少し違うんですね。時間も欲しいんですけどw
例えば10年後、Rは私の10倍の収入がある筈です。労働力の対価としては、最高ラインでしょうか?私は労働力としても認められないのかも。
また、精神の対価も得る事が無いと言うw
私ももう少し掘り下げて、何か見つける?せんせの意見も聞かせて下さい。

by けーちゃん (2013-06-18 22:13) 

Caelum

こんばんは、不死身の労働力Caelumです(゜д゜)

>>ゆうみさん
僕は業務スーパーの激安鶏肉(2Kg598円)と100均の小麦粉と
サプリで生存可能な人間なのでアレですが、やはり節約するなら
食費になりますかねぇ…家電を思い切って買い換えるというのも
将来的には節約になったりします。最近の省エネは凄いです。

by Caelum (2013-06-19 22:00) 

Caelum

>>けーちゃん
こんばんは、けーちゃん(゜ω゜)

「事実は小説よりも奇なり」と言うしね、人が考えて作り出した
出来事よりも、実際に起こる「人には考え付かないこと」の方が
恐ろしかったり、面白かったりするからなぁ(´ー`)

モモは深く潜り込んで考えて行くと深いけど、表面上は子供向けの
物語だから、あまり考えずに気軽に読むのも良いよ。
そういう読み方をした場合、時間がテーマだと感じるだろうと思う。
物語としてはその方が楽しめるかな…僕はそう感じた。

>私の10倍の…
でも、僕の2倍以上の収入がある可能性は極めて高いし、少なくとも
同等以上であることはほぼ確実と見て良いと思う。
その場合、僕は半分以下の労働力しか持たない人間なのか?というと
経済的にはその通りで、情緒的にはその通りではない。

仕事には色んな形がある。
絶対にミスが許されない仕事…ミスしたら人が死ぬとか、そういう仕事。
それは精神的な圧力に耐えながらの仕事になるのだから、その対価として
高い報酬が支払われるのは自然なことだと思う。

また、専門的な技術・知識が要求される仕事もある。
誰でも出来るわけではないのだから、これもまた対価が高くて然り。
逆に「できる人が多い」「安全である」「責任が軽い」といった要素を
多く含む仕事ほど、報酬が安い傾向にあるということだよね。

これらは労働価値の原理からすると当然のことであって、これが崩れると
金と労働の関係性が曖昧になり、金というものが成り立たなくなる。
これにより、経済的には高報酬の職業に付いた人間の労働力は高く評価され
低報酬の職業に付いた人間の労働力は低く評価されるんだ。

ただし、人間の価値は労働力だけで判断できるものではない。
感情的にはつい「じゃあ低報酬の労働者は価値の無い人間なのか?」という
論を展開しがちだけど、それは全然違うんだ。経済的価値と人間の価値を
同等と見てはならない。人間の価値は経済的価値ほど単純に計算できない。


僕の仕事は、失敗しても誰も死ぬことは無いし(場合によっちゃ死ぬけど)
怪我をすることも無ければ、特別な知識や技術も基本的には不要なんだ。
誰だって仕事をしながら身につけることが出来る程度のものだからね。
才能だとか、センスだとか、そういうのはまた別の話…

でも、僕らの仕事が無かったら今の世の中は成り立たない。
平均的な収入の職業だけど、他で代用することは出来ない職業なんだ。
代わりはいくらでもいる…それは確かなんだけどネ('A`)

僕は半分趣味で、気ままなこの仕事が割と好きだよ('w`)

by Caelum (2013-06-19 23:08) 

そら

モモってきっと今読み直すとかなり面白いでしょうね。
労働力の対価って、きっと考えだすと、どこまでも深い。
学歴社会の目的は対価の高い職を求めてかな?
そこに入学してしまえば、自動的に振り分けられる。この図式が疑問。
大学受験のシステムが大きく変わるかもしれないみたいです。
個人的には大賛成。
一番最近の面接も非常に苦しかったけど、「リンゴの説明をして下さい」この一問のみの試験が一番苦しかった。
日本の受験は海外式に変わるかも。
労働力の対価、もっと情緒的な部分にスライドすると、大きく子育てから変わるかもしれない。
人様のブログで発言すべき事では無い、私の考えもあったりして、毎回ながら乱文;
ただ、私ももっと深く広げて考えたい。

by そら (2013-06-20 18:25) 

Caelum

>>そらちゃん
うん、子供の頃に読む楽しさと、大人になってから読む楽しさの
両方を味わえる良い本だと思う(´ω`)

労働と労働力、金、これらの問題は何百年も前から色んな人達が
考えてきたにも関わらず、今もって「これだ」という答えの無い
とても深いものだからね…だからこそ、面白くもあるよね。

>学歴社会
一般的に、高学歴である人は勤勉である場合が多いとは言えるよね
一生懸命勉強をしたからこそ、偏差値の高い学校に入れたのだから。
日本ではそういった「勤勉」「真面目」といった性質が重要視され
その性質がある人を「優秀」と評価する傾向はあるかな。

これはわかりやすい物差しだし、多くの場合は正しい。
だからこれを重要視するのは良いことなんだけれど、日本の問題は
これが最低基準になってしまっていることだと思う。

例えば「応募資格:大卒以上」としている会社は非常に多い。
しかしながら、その根拠を説明できる会社はどれだけあるだろう。
学歴社会は悪ではないけれど、多くの企業は使い方を誤っている。

…と、僕が言うと学歴コンプレックスみたいでアレだけど('w`)

>大学受験のシステム
秋に受験するというやつかな?それともセンターが複数回の方かな?
どちらも色んな意見が出ていて、良いことだ(´ー`)

僕は実は、秋試験が導入されたら空白の半年は…
いや、これはお品書きに書いておくとしよう('w`)

by Caelum (2013-06-22 00:15) 

レンジ

あんなぁ、今おらんからな、変な事書いたら後で怒られるかもしれへん。
うちやったら、あんまり怒られへんからってみんなに言われてん。
うちはお品書きの意味知ってるからな!
やけどズルいな、後で教えてもらうけどな。
コンプレックスはなぁ、せんせは絶対違うな。
一般的にはそうなんやろうけど、うちらは変人の集まりやで。
だから企業の基準は間違ってんねん。
知らんおっちゃんもな、せんせと同じ事言ってたわ。
らしいで。
御旅ちんも時々どこの言語やねん?って話ししてるけどな。

ふわぁ!高校生に感想聞いてきたで!
面白かった。
せんせの感想が特に面白かったらしいわ。

by レンジ (2013-06-22 08:18) 

Caelum

>>レンジちゃん
お品書きの内容は、大体消化されない('w`)
また2つ、新たなメニューがお品書きに追加されたんだけれど
その内容は…内緒でござる。特に2つ目は!

>御旅ちん
いいなぁ、僕も生御旅ワールドを体験したいものだ(*´д`)
いつの間にやら僕が僕じゃない人になっているというお話は
衝撃的だった。天才回路、恐るべし。

>高校生に
お、ありがとう(´ω`)
僕の感想が特に…ということは、物語がどうこうというよりは
経済のあり方とか、そういった現実的な問題を取り扱っている
ような本…マルクスの著書とか、そういうのが好きなのかも。

いや、とはいえそういう本を読みたいわけではなさそうだ。
生きた知識というか…現実社会と照らし合わせた考察を聞くとか
ディスカッションするとか、そういった能動的なことの方が一層
好きなのかもしれない。想像だけど。

by Caelum (2013-06-23 11:48) 

ぷち

1冊の読み物から、ここまで広げられるのって、読み手もすごいですが、
書き手も嬉しいでしょうね。
「はい、すごく面白かったです」、なんて感想はいらなくて、良いも悪いも
いろんな意見が出て初めて、評価されるものやと思います。

by ぷち (2013-06-23 21:38) 

レンジ

そうやった!言いたい事あってん!
「バリバリ頑張りましょう」を「パリパリ頑張りましょう」って、打ち間違えてた。
うち最初ネタかと思ったら、本気やったわ。
ほんでこのメッセージを考えたんは、御旅ちんな。
あのペアー最強やで。
お腹痛いって笑いながら泣いてたわ。
マルクスも読んでみたいって。音楽も本も喜ぶねん!せんせすごいな。

by レンジ (2013-06-25 23:08) 

御旅

報告です。
無事です。他人に抱きしめられたのは、初めてです。勿論赤ちゃんの時は別です。
胸が最近苦しくなる事がありますが、心配はありません。病気では無いです。
長靴は保管してます。
カッパはサイズが合いませんでした。
ひらひらするカッパを着用の機会でしたが、無理でした。傘を持って行きました。
楽しい時間でした。散歩は楽しいです。
一つ疑問です。
私が傘と長靴で散歩に出掛け無いと、ぽーちゃんが神やに怒られると言いました。
この場合は、私が怒られるのでは無いですか?

by 御旅 (2013-06-26 17:05) 

Caelum

>>ぷちさん
猫も両手を挙げて降参するほど魚を綺麗に食べる僕なので
小説も同様に、残さず食べきります(゜д゜)

やはり人それぞれ思想がありますから、どんな話だとしても
賛成意見もあれば反対意見もあるのだと思います。
小説に限らず、日常会話や仕事でもそうですもんネ。

でも、意見や思想はぶつけ合うことによって洗練されて行き
より良いものに成長するのだと思います。

…と、たまにはまともな事を言ってみました('w`)

by Caelum (2013-06-26 23:07) 

Caelum

>>レンジちゃん
パリパリ頑張るのもいいと思うよ!!

パリパリというのは…例えば、煎餅のパリパリ。
これは「ちょっと休憩も入れつつ頑張りましょう」となる。

他には…フランスのパリ。
この場合「華の都パリのように優雅に頑張りましょう」となる。

なかなかいいじゃないか、パリパリ(´ー`)

>マルクス
実は僕もマルクスは読んだことが無いので、どんな内容なのかは
正直わからない!社会科でちょっと聞いた程度だから('A`)
よって、面白いかどうかは保障しかねる…

以前に感想文を書いたけど、デカルトの「省察」は面白かったよ。
でも省察は「方法序説」の続編だから、こちらを読む方が良さそう。

>音楽
うーむ、しかし機器の都合で再生できないんじゃないかな?
もしそうなら、やはり文章主体がいいかなと思うんだけど…

by Caelum (2013-06-26 23:14) 

Caelum

>>御旅ちゃん
無事で本当に良かった!ありがとうね(*´ー`)
僕が抱きしめたら警察に捕まるので、そこはアレで。

>胸が最近苦しくなる
大丈夫かい?病気でなくとも生活習慣の乱れや疲労の蓄積で
変調をきたすこともあるからね、気をつけないと…

僕も肺の横や胸骨の中間付近が痛くなることがたまにあって
肋間神経痛とはまた違った痛みなんだよなぁ…なんだろう。
これまでレントゲンやMRIでも異常は何も発見されていないし
大丈夫だとは思うんだけどネ。

洞性不整脈があるから、その影響かな?とも思うんだけれども
どちらにしても日常生活には支障が無いから大丈夫。
(と、これまで診てもらったお医者さんもみんな言ってたし)

>ぽーちゃんが怒られる
そうだねぇ、やっぱり御旅ちゃんが風邪を引いたらいけないから
僕の代わりに、そこはしっかりと準備してあげて欲しい。
でも、そんな無茶をしたら御旅ちゃんにも怒っちゃうかなぁ
だから無茶しちゃ駄目だよ(´ー`)

by Caelum (2013-06-26 23:37) 

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