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 [雑記]

戦略における敗北は戦術では覆せない。

・最強のドラえもん
ドラえもんの道具で一番強いのは…

・今週の読書
いつものアレ。

・今週の進捗
絵の話。いつものアレ。

ほいではポン。


・最強のドラえもん
ドラえもんの道具って無茶苦茶ヤバいものが多いじゃないですか。上手く使えば世界を掌握出来そうな道具が沢山あります。割と無害だと思われる「どこでもドア」でさえ世界掌握に十分な力を持っていますからね。それより強い道具なら余裕でしょう。

そんな中でどの道具が最強なのか?というのはこれまで散々取り上げられてきた話であり、ちょっと検索すればいくらでも出てくるんですが、具体的にそれを使ってどうすれば最強になれるのかというは案外言及されていないので、取り上げてみようかと。

1.ソノウソホント
くちばしのような形をした道具で、これを装着して喋ると「嘘が本当の事になる」という効果を発揮します。そして「今のは嘘」と言うと直前の嘘が取り消されます。

問答無用で最強の道具です。嘘を事実に変えることが出来るため、喋ることさえ可能な状況であればこの世の全てを思うがままに操作することが出来るということです。

入手したらまずは「この世の全てが僕の思い通りになる」と言うと良いでしょう。この時点で勝ちが確定します。「全て思い通り」ということは予想外の出来事が起きなくなってしまうので、それじゃつまらないですよね。ということで、自分の叶えたい願いをじっくりと考えてリストアップしましょう。「不老不死」「大金持ち」とか、何でもいいです。

準備が整ったら安全を確保したうえで道具を装着し「今のは嘘」と言います。これで世界は元通りになります。そして「これから1時間、僕は絶対に安全」と言います。この世に「絶対安全」などというものは無いので、これは嘘です=現実になります。あとは1時間以内に(多ければ時間を延ばす)リストを順番に読み上げて世界をカスタムしましょう。

以降、個別に嘘を解除したければ「なぜか僕の不老不死が解除される」といった感じでひとつずつ解除すればOKです。注意点は、最初のように「全てが思い通り」みたいな汎用的な嘘を付いてしまうと効果の認識が困難になることです。「全て」とは何なのか、漠然としていて分かりませんからね。一応は「寿命に関してだけは思い通りにならなくなる」みたいな方法で個別解除できますが、把握し切れないですよね。

何にしても、今どのような嘘がONになっていて、どれがOFFなのかということを管理して行く能力が求められますが、よく分からなくなったら「僕の記憶以外の全てが嘘を付く前に戻ってしまった」と言えばリセットできそうなので問題は無いでしょう。

類似の効果を持つ「ウソ800」という道具もあり、これは薬品であり服用することで「言ったことが全て嘘になる」という効果を得られます。しかし体質そのものが変化してしまうので、着脱可能であるソノウソホントと比べるとかなりテクニカルで使いにくい道具であると言えます。よって、この道具は最強とは言い難いでしょう。(無茶苦茶強いですが)

2.もしもボックス
電話ボックス型の道具で、その受話器に「もしもxxxだったら」と話すことで世界をそのように作り変える効果を持っています。実際には「そのような設定のパラレルワールド」が作成され、そこに送り込まれるだけなので元の世界に変化はありません。帰りたい場合は受話器に「元の世界に戻して」と言えばOKです。

最強の道具ランキングで上位常連の道具ですが、この道具を最強にするためには使用者の工夫が必要になるので、テキトーに使っても最強のソノウソホントよりは劣ります。

「話した通りの設定」で世界が作られてしまうため、融通が利きません。「何でも僕の思い通りになる世界」なら文字通り「思い通り」になるので世界の微細な調整も可能でしょうけど、ソノウソホントと同じく管理能力が求められますね。そして魔が差して「世界は僕の思い通りにならなくなった」などという改変をしてしまったらゲームオーバーです。

また、上記以外の世界を作ってしまった場合は不慮の事故等でもしもボックスが破壊されてしまう=元の世界に帰れなくなる=世界を作り変えることができなくなるという状況に陥る可能性があるため、これも詰みです。絶対に防がなくてはなりません。

更に言うと、電話でオーダーしてから新世界が構築されるまでにはタイムラグがあります。可能性としてはほぼ無いとは思いますが、この間に阻止されてしまったらアウトです。そういった意味でもソノウソホントには劣る道具であると言えますね。

3.バイバイン
液体の道具であり、物体に塗布すると「5分経過するごとに2倍に増える」という特性を与えることができます。作中ではおやつの栗まんじゅうを沢山食べたい!ということで使用しています。1個の栗まんじゅうが5分後に2個になるので、そのうちの1個を食べて5分待つ、するとまた2個になるので…と繰返すことで無限に食べられます。

この道具の恐ろしいところは「2倍になる」という部分です。1個が5分後には2個、更に5分後には4個、更に5分後には8個に…と、名前の通り倍倍に増えて行きます。作中でも結局は大量の栗まんじゅうを食べきれなくなり、栗まんじゅうが恐ろしい勢いで増え始めたので宇宙に投げ捨てることで処理する羽目になりました。

多くの方が計算されていますが、一般的な栗まんじゅうを放置した場合、23時間ちょっと経過した時点で栗まんじゅうが宇宙を埋め尽くします。

途中でブラックホール化するとか、恒星の熱で燃え尽きるとか、逆に凍結するとか、色々と考えられますが、エネルギー保存の法則や相対性理論を無視した超次元の効果を持っているためどうなるのか予測できません。かなりヤバい道具です。

ソノウソホントやもしもボックスは論理的に宇宙を破壊できる力を秘めていますが、バイバインは物理的に宇宙を破壊する力を秘めています。街が栗まんじゅうに飲み込まれ、国が飲み込まれ、大陸が飲み込まれ、星が飲み込まれるという様子を見せ付けられるのですから、人々に与える恐怖は最上級です。一瞬で終わらないですからね、超怖いですよ。

宇宙を破壊したい場合、できるだけ丈夫で大きな物体に対してバイバインを使いましょう。栗まんじゅうのように複数の要素で構成されたものも「1個」としてカウントされるようなので、そこらに停まっている車などで良いと思います。「地球」が一番手っ取り早いのかもしれませんが、それが許されるかは不明です。両方に使うと安心ですね。

車のみについて言うと、開始から5分後には2台に増えます。この時点では誰も気付かないでしょう。開始から10分後には4台、まだ大丈夫。15分後には8台、そろそろ駐車場が異様な様子になってきますね。20分後には16台、ここで駐車場から溢れ出します。

30分後には64台、恐らく道路が塞がれて交通が麻痺します。ここで警察に通報が行くでしょう。5分後(開始から35分)に警察が到着した際には128台に増えており、近隣の建物が破壊されるでしょう。警察官ではどうにもならないので、更に上に報告が行きます。

警察官から映像が送られ、異常事態について議論が行われ「現場を確認しよう」などという話になり、偵察用の車両が出動すると思われますが、それまでに1時間以上は掛かるはず。ここまで1.5時間経過しているとすると、車は262,144台に増えています。

一般的な乗用車の大きさは幅1.7m、長さ4.8mであり、面積は8.16平方メートルです。平面的に増えたとすると約214万平方メートルであり、東京ドーム45.5個分です。もうこの時点で撃滅不能な大きさになっていますね、どうにもなりません。

ここで総理大臣にまで報告が上がり、自衛隊が出動するでしょう。そこまでに30分要するならば、車の面積は137平方キロメートルになります。これは川崎市とほぼ同じ面積です。もはや自衛隊でもどうにもなりません。5分後には更に倍で大阪市の面積を超え、更に5分後に名古屋市の面積を超えます。更に10分後には大阪府と香川県を超え…といった感じで、事件発生から3時間15分後に日本の国土が車で埋め尽くされます。

これを防ぐには、開始から1時間以内に戦略兵器によって街ごと破壊するしかありません。現実問題、そんなことは不可能です。住民の避難ができないし、住民の命を無視しても作戦を発動して実行するまでに1時間以上掛かります。つまり防ぐ手はありません。

怖過ぎでしょ、バイバイン。「地球破壊爆弾」とか「原子核破壊砲」のような単純に強そうな道具もあるんですけど、恐ろしさで言えばバイバインが勝ると思います。


ドラえもんの道具、怖過ぎですよね。しかしこれらは未来デパートでは普通に売られているものなので、何らかの対抗策も作られているのでしょう。「ソノウソホント無効フィールド」みたいなものが張り巡らされているとか。

「海底二万里」で有名なSF作家のジュール・ヴェルヌが「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」と言いましたが、コレは無理やろなぁ。バーチャル世界で疑似体験できるかも?という意味では実現できるのかもしれないけれども。


・今週の読書
それではいつもの読書記録です。

今週読了した本:
パン屋を襲う:村上春樹
Another(上巻):綾辻行人
Another(下巻):綾辻行人

現在読んでいる本:
Another エピソードS:綾辻行人
屍者の帝国:伊藤計劃

今後読みたい本:
虐殺器官:伊藤計劃
ハーモニー:伊藤計劃
ドグラ・マグラ(上下):夢野久作
ニューロマンサー:ウィリアム・ギブスン
砂の女:安部公房
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?:フィリップ・K・ディック
天使の囀り:貴志祐介
プロジェクト・ゼロ:石川英輔
死都日本:石黒耀
13階段:高野和明
三体:劉慈欣
テスカトリポカ:佐藤究
正欲:朝井リョウ

「Another」を読了して「Another エピソードS」を3分の1程読みました。この後は「Another 2001」に行こうと思っていましたが、これは取り止めとします。

以降、結構過激なことを書きますのでAnotherや綾辻行人さんのファンの方は読まない方が良いかもしれません。あくまで僕の意見であり、他の意見を否定するものではありません。

「Another」なんですけど、アニメ版より微妙だったなと。話はほぼ同じなんですけど、アニメ版は映像の出来が非常に良かったので、この物語のおかしな部分をある程度はカバーできていたんですよ。映像だけで引っ張れる力がありましたからね。終盤はそのおかしさがMAXになってしまったのでカバーし切れていませんでしたが。

アカン部分は沢山あるんですが、まずは叙述トリックですね。この作品が悪いってワケじゃないんですけど、叙述トリックって読者を騙すために作られた仕掛けですよね。ミステリ小説って主人公が敵と戦うものであり、読者が著者と戦うものじゃないんですよ。

読者を主人公とダブらせることで主人公=読者VS敵=著者という構図を作るのはいいんです。一般的なミステリはそうですよね。でも叙述トリックは「主人公は知っているが、読者は知らない」という情報を謎に絡めていて、主人公と同じ視点で戦うことができません。それが好きという人もいるでしょうが、僕は嫌いです。

これについては僕の好みの問題なので、叙述トリックという形式が悪いわけじゃないし、Anotherが悪いわけでもありません。誰も悪くない。だからこれは別にいいんですよ、この点について出来がどうだというつもりは一切ありません。

一方で中身は明確にアカンですね。出来が悪い。Anotherには「事件に関わる全ての事象(記憶も物質も)が超常現象により改ざんされる」という超設定があるので、正直言って何でもアリなんですよね。その一方で千曳という人物は「観察者として部分的に超常現象の関与を受けない」という超設定があります。

ただのパニックホラーならいいんですけど、ミステリという皮を被っている以上は論理をぶっ壊す超設定ってどうなんですかね。それがあると、読者の推理が一切通用しなくなる可能性が付きまとうじゃないですか。結果がどうであれ、ルールを捻じ曲げる力が存在している以上は考えても無駄なんですよ。それってミステリとしてどうなんでしょう。

また、長年に渡り人死にが多発しているにしては世間から問題視されていない点が気になります。「呪いのことを部外者に話すと更なる災厄に襲われる」という設定はあるんですが、事故死などは普通に新聞に載っているし、現代劇なのでマスコミもあるじゃないですか。3年3組に事件・事故が集中しているなんてすぐに周知されます。

「学校側としては公的機関がオカルトで動くわけには行かないから」みたいな理由も書いてありましたが、学校がどう考えていようが保護者側は黙っていないはずです。子供が死ぬかもしれないのだから、そんな学校に通わせないでしょう。通わせたとしても、3年3組になった瞬間に猛抗議するか引っ越すかしますよ。命に関わるんですから。

そもそも、部外者に話したらいけないという決まりであっても、自分の命がかかっているんだから親に話して引越して貰えるように説得しますよね。自分の命を危険に晒してまで決まりを守るって3年3組の生徒は武士か何かなのですか。

作中では親に話して脱出した生徒も何人か存在するという描写がありますが、少数派なんですよね。最終盤でもまだ14人の生徒が残留しているので。(合宿に参加していない生徒もいるようなので、恐らくもっと多いはず)

「現実味が無いから嫌だ」と言っているわけではありません。フィクションなので、それは別に構わないです。全員が「逃げるのは恥である、正々堂々と怪現象に立ち向かうべき」と考えているならそういう世界であるということでいいんです。が、作中ではみんな「死ぬのは怖い」と考えているじゃないですか。つまり、この人達の価値観と行動がズレているんですよ。それが嫌なんです。その世界の価値観に従って下さいよ。


その辺りの設定的な話を抜きにしても、物語終盤で「実は机が足りなかったのは教室ではなく職員室だった」という話が明らかになります。いや、それって物語開始前に3年3組の全員が知っているはずですよね?それなら、4月時点で担任か副担任が死者だって分かっているはずじゃないですか。どちらかは分からないので、2人を無視すればいいですよね。

結局のところ、これって三神先生=怜子さんという事実を最後まで隠し通したいがために全てを犠牲にしているんですよね。もしもこれが明らかである前提で話が進められたら、三神先生関連のトリックは全てクリアになってしまうし、鳴の能力も不要となり、主人公は無視されず、Anotherという物語が成り立たなくなってしまいます。

言い換えれば、この物語の惨劇は全て不要だったはずなんですよ。それなのに登場人物をわざわざ阿呆にすることで物語を作り上げています。これが一番の問題です。


エピソードSについては上の通り3分の1ほど読みましたが、今のところ面白くないですね。このあと盛り上がるのかもしれませんけど、120ページに渡って起伏のない描写が延々続いているだけであり、かといって村上春樹のように文章そのものに面白味があるわけでも無いので、非常にのっぺりとしています。あまり期待できそうにありませんね。

この後に予定していた2001については、レビューをチェックしたところ上に挙げたような問題点は一切解消されておらず、あくまで著者のファン向け、あるいはキャラが好きなら、といった感じのようです。僕は著者のファンではないし、鳴ちゃんは良いキャラだと思いますがそのために800ページを読むのは辛いのでパスします。

同著者の「十角館の殺人」は面白いとのことですが、これも多分何かしら気になるんだろうなと思うと食指が動きません。多分、Anotherや著者がどうこうという話でなく、僕はミステリが好きじゃない、あるいは向いていないんでしょうね。

上でも触れましたが、ミステリって主人公=読者への挑戦状みたいな側面があると思うので、挑戦された以上は徹底的に粗探しをして叩き潰したいんですよ。それだけやってまんまとやられるなら清清しいじゃないですか、完敗ですよ。そういう敗北が欲しいんです。敵が勝手にルールを捻じ曲げるような卑怯な戦いは嫌いです。(「勝手に捻じ曲げた」と明言されるなら、それがルールなので問題無いです)

完全に叩き潰してくれるミステリなら大いに楽しめると思うんですが、それを探すのって難しいですよね。かなり読み進めないと判断できませんので。そうなると、今後はミステリを避けるのが無難という選択になってしまうかなぁ。

もちろんミステリ以外のジャンルでも「それはおかしいやろ」という部分はいくらでもあるんですけど、読者に挑んでこなければおかしくてもある程度は許容できます。おかしい部分が物語の根幹に関係無いのであれば、ですけれども。サザエさんが何度正月を迎えても24歳であるとか、おかしいけど別にどうでもいいじゃないですか。ドラえもんが栗まんじゅうを宇宙に捨てても別にいいんですよ。

ミステリは基本的に全ての情報が物語の根幹に結び付いてしまうので、そういった点で不利なんでしょうね。少しの綻びも許されない。ミステリ作家ってしんどい職業だなぁ。


以下、絵の話なので畳みます。
今週はいつもとは違ったベクトルで気持ち悪い絵です。






 

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